2023 .1.12

物流向け無線ネットワーク構築の課題と導入事例(その2)~ケーメックスONEのプロマネが選ぶベストプラクティスとは?

前回は、物流現場でよく相談される無線通信の課題と、それを解決するMoxa製品の優位性について、8つのポイントに分けて解説しました。Moxaの産業用無線製品は、生産ライン向けのAGV(Automatic Guided Vehicle)システムや、自動倉庫のシャトルシステム、低温倉庫での安定稼働、フォークリフトの監視システムなど、さまざまなシーンで利用されています。今回は代表的な導入事例として、ケーメックスONEのプロマネが選ぶベストプラクティスについてご紹介します。

 

屋内外のフォークリフトやクレーン用無線の事例~最大300Mbps転送や5ms高速ローミングも

Moxaの無線製品は移動体通信の事例が多く、たとえば建屋内を移動するプラントクレーン通信の最適化といった使い方があります。ここで要求されるのは、高速ローミング、WiFiネットワークのリアルタイム監視、電波干渉からの保護などです。Moxaでは、これらの要件を満たす堅牢なハードウェアとして、産業用ワイヤレスAP/クライアント「AWK-4131Aシリーズ」を提供しています。さらに同社の製品には、WiFiネットワークの可視化が可能な専用監視ソフトウェア「MXview/MXviewWirelessアドオン」が用意されており、中央のコントロールルームから機器の管理が可能です【★写真1】。

 

【★写真1】プラントクレーン運転の最適化。WiFiネットワークで管理ルームからの運用を可能にしている。

 

クレーンの無線LAN通信では、建屋や工場内などの屋内だけでなく、屋外用の事例もあります。たとえば港湾での自動荷役システムとフォークリフト用の無線ネットワークの例が挙げられます。フォークリフトのWiFi通信用には、コンパクトでコストパフォーマンスに優れた無線装置が必要です。さらに本事例では、すでに他社のアクセスポイント(以下、AP)が設置されており、それらと安定した相互通信が可能な仕様も求められました。

 

そこで採用されたのが小型ワイヤレスAP/クライアント「AWK-3131Aシリーズ」です。これは防塵防水型ながら、コスト効率に優れ、あとからフォークリフトやクレーンにWiFi機能を追加できるワイヤレスソリューションとなっています。もちろん他社のAPも統合して、高信頼のワイヤレスネットワークを構築できる点も見逃せません【★写真2】。

 

【★写真2】貨物港湾での自動荷役システムとフォークリフト用の事例。コンパクトでWiFi機能を後付けできる無線ソリューションがポイント。

 

倉庫内でフォークリフトに無線通信が使われる場合、制御データに加えて、搭載カメラのライブビデオストリーミングで現場を監視するケースもあります。本事例は「AWK-3131Aシリーズ」によって、フォークリフトに無線クライアントを簡単に取り付け、クライアント/ルータモードで映像を転送する仕組みです。もちろんライブ映像を流す十分なWiFi帯域が求められますが、Moxaの製品ならば最大300Mbpsのデータレートでの転送が可能なので、リアルタイム映像にも対応できます【★写真3】。

 

【★写真3】フォークリフトに搭載したライブカメラによる無線ストリーミング事例。最大300Mbpsのデータレートで転送でき、リアルタイム映像に対応。

 

特殊環境で使えるMoxa製品の強み~漏洩同軸での通信や-40℃の倉庫でもOK!

自動車工場向けには、通常であれば無線で通信を行うケースが多いのですが、狭いスペースで、高信頼かつ安定した高品質ワイヤレスネットワークを構築するために、漏洩同軸ケーブルを採用した海外工場の事例もあります。ここでは「AWK-3131Aシリーズ」と「AWK-1131Aシリーズ」を導入し、アンテナの代わりに漏洩同軸ケーブルを配置することで、無線干渉のノイズを低減させました。Moxaの製品は、漏洩ケーブルにも対応できるソリューションをそろえている点も強みといえるでしょう【★写真4】。

 

【★写真4】自動車工場における漏洩同軸ケーブルによる無線ネットワークの構築事例。Moxaは鉄道内の無線構築も得意としており、特殊な事例にも対応できる。

 

続いて、国内工場の事例をご紹介しましょう。飲料工場では、倉庫から材料の搬送をする「AGV」(Automatic Guided Vehicle)がよく使われてます。そこで無線通信として要求されるのが高速ローミング機能です。Moxaの製品は、独自のTurbo Roamingテクノロジーにより、150msという高速なローミングが行えるため、シャトルシステムからコントロールセンターへ常時データ転送が可能になります。

 

本事例では「AWK-3131Aシリーズ」と「AWK-1131Aシリーズ」を採用していますが、それ以外にもイーサネットスイッチ「EDS-205A」を導入し、センターとの中継に利用しています。このようにネットワークをMoxaの製品に統一することで、親和性の高いスムーズな通信と、使いやすいWebユーザーインターフェースによる簡単な初期設定が可能になります【★写真5】。

【★写真5】飲料工場内での中断のない無線通信による円滑なオペレーション事例。独自のターボローミング技術による、150msの高速なローミングが強み。

 

食品などの倉庫では冷凍保存されることが多いため、氷点下以下、たとえば-20℃以下の過酷な環境でも耐えられる設計のビデオストリーミングに対応しなければならないこともあります。Moxaの製品は動作温度範囲がー40℃~+75℃で、他社と比べても使用範囲が広いのが特長です。これはMoxaならではの仕様といえるでしょう【★写真6】。

【★写真6】冷蔵倉庫内のような極寒の環境で構築した映像監視用の無線ネットワークの事例。Moxaならー40℃~+75℃とワイドに対応。

 

またビデオストリーミングのために、無線通信は2.4GHzのほか、5GHzでW52(屋内のみ36ch/40ch/44ch/48ch)/W53(屋内のみ52ch/56ch/60ch/64ch)/W56(屋外可能その他のch)に対応した、DFS認定のネットワークを構築できる点も特徴です。

 

繰り返しになりますが、Moxaの無線製品は他社にない高速ローミングと、現場でのリアルタイム監視、WiFiネットワークの可視化、電波干渉の防止といった機能を備え、AGVのような無人搬送車向けの通信に最適化されている点が大きな強みです。

 

さまざまな過酷な現場にも適応できるローミング感度設定や、低温倉庫で利用しても無線通信がフリーズしない安定した機能を備えています。また電源ポートとRFポートを突入電流と電磁ノイズから保護するデュアル絶縁も採用。本体自体が故障しない産業用グレードの設計になっているため安心してご利用いただけます。

 

このようにケーメックスONEでは、物流系の無線ネットワークの課題を解決する対策を十分に講じています。もし何か物流ネットワークでお悩みがあれば、ぜひ弊社担当までご連絡いただければ幸いです。

 

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