2017 .4.24

【連載6】こっそり教える、エンコーダーの秘儀

POSITALのエンコーダだからできる! 分解能を変更する手順を伝授

前回POSITALのロータリーエンコーダIXARCシリーズの大きな特徴として、分解能(ppr:plus per revolution)を任意に変更できることをご説明しました。

 

この機能は「POSITALならでは」といえるものなので、今回はその変更の具体的な手順についてご紹介したいと思います。まず分解能を設定できるエンコーダの種類ですが、インクリメンタル型とSSIインターフェース仕様のアブソリュート型が対象になります。その他のインターフェース仕様のアブソリュート型は変更ができませんので、ご注意ください。

 

分解能を設定するために用意するものは次の通りです。ロータリーエンコーダ・IXARCシリーズ【★写真1】と、インターフェースモジュール「UBIFAST設定ボックス」【★写真2】、スマートフォンあるいは、タブレット、ノートPCのいずれかです。今回は身近なiPhoneを使用してみます。

 

【★写真1】POSITALのロータリーエンコーダ・IXARCシリーズ。

 

【★写真2】UBIFAST設定ボックス。スマートフォンやタブレットとWiFi経由で通信しエンコーダの分解能を設定できる。

 

UBIFAST設定ボックスは、Webブラウザ経由でエンコーダのIXARCシリーズにアクセスし、分解能の設定を変更したり、そのデータ内容をPOSITALにメールで送信できます。セットボックス自体は、分解能を設定するために必須となる機器で、これ1台で事が足ります。

 

IXARCシリーズの分解能を変更するには、特にアプリケーションをインストールしたり、インターネットに接続する必要もありません。まず、UBIFAST設定ボックスの電源を入れてください。次にエンコーダーとセットトップボックスを接続します【★写真3】。

 

【★写真3】分解能の設定準備。IXARCシリーズとUBIFAST設定ボックスを接続する。

 

前準備として、iPhoneのWi-Fi機能を[設定]→[Wi-Fi]でオンにしておきます。すると接続可能なネットワークに[POSITAL Configuration Tool]が表示されますので、それをクリックし、事前に知らされているパスワードを入力します【★写真4】。続いてiPhoneからWebブラウザを立ち上げると、UBIFAST設定ボックスのサーバ機能によって、デフォルトの設定画面が表示されます【★写真5】。

 

【★写真4】iPhone経由で設定するので、WiFiでUBIFAST設定ボックスとコネクトする。

 

【★写真5】iPhoneのブラウザを立ち上げると、UBIFAST設定ボックスのWebサーバ機能でデフォルト画面が現れる。

 

画面上の[NEXT]をクリックして、いよいよパラメータの設定を行います。ここではインクリメンタル型も、アブソリュート型も同時に設定することが可能です。NEXTをクリックすると、まず「INCREMENTAL_PARAMETERS」という画面が現れます。インクメンタルの場合の分解能(PPR:Pulses Per Revolution)と、回転方向の設定(A相とB相の位相関係の設定)を行います【★写真6】。便宜的に分解能は10000PPR、回転方向は「A before B」を選んでみました。

 

次に[NEXT]をクリックすると「ABSOLUTE PARAMETERS」(SSI)の画面が現れます【★写真6】。ここでアブソリュート型の設定が行えます。1回転あたりの分解能と、マルチターンでの回転数、さらに出力コードの種類を設定します。ここでは一例として最も細かい分解能16384PPR(14ビット)と、最も多い回転数を指定してみます。出力コードはバイナリ(2進)にします。

 

【★写真6】まずは、INCREMENTAL型のパラメーター設定。分解能と回転方向の設定を行う。

 

これらの設定が終わると、サマリーが表示されますので、これで正しいかどうか確認をします【★写真7】。もし、これでよければ[Configure]をクリック。するとベリファイが始まり、無事に設定が成功したことが通知されます【★写真8】。

 

【★写真7】アブソリュート型のパラメータ設定。シングルターンの分解能,マルチターンの回転数,出力の種類を設定する。

 

【★写真8】すべて設定すると最後にサマリーが現れるので、設定情報を確認する。よければ[Cofigure]をクリック。

 

次いて[Send]をクリックします。このSendによって、エンコーダに関する設定情報を、POSITAL社のERPシステム側に送信することができます【★写真9】。これは将来の機種交換などの際、過去データを参考にするために役立ちます。これで設定はすべて終了です。

 

【★写真9】最後にメールの画面が現れる。エンコーダの設定情報をPOSITALに送れるようになっている。

 

このようにIXARCシリーズは、単なるエンコーダではなく、スマートマシンとしての機能も持ち合わせていることがお分かりでしょう。今回、実際に分解能を設定してみましたが、実質の設定時間は5分足らずで済みました。分解能の任意の設定は、まさにPOSITAL社の差別化のポイントになる機能です。これだけでも、IXARCシリーズを選定する価値があると言えるでしょう。

 

最後に今回のおさらいとして、POSITALの公式動画を下記に示しておきます。ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。

 

 

コラムで取り上げた製品についてはこちら

製品 POSITAL FRABA
バッテリーレス アブソリュート ロータリーエンコーダ
POSITAL FRABA
POSITAL FRABA UBIFAST設定ツール