2017 .3.31

【連載5】こっそり教える、エンコーダーの秘儀

これは便利! エンコーダの分解能をプログラムで変更できる機能

前回はPOSITAL社のロータリーエンコーダ・IXARCシリーズのユニークな特徴のひとつとして、自己発電機能を中心にご紹介しました。これによって、IXARCシリーズはバッテリーレスになり、構造も非常にシンプルになるという大きな特徴が得られました。実はXARCシリーズには、まだ他社にはないユニークな機能が隠されています。それはエンコーダー選びのために特に重要なポイントとなる分解能に関する機能です。

以前、ロータリーエンコーダの分類には、アブソリュートとインクリメンタル型があることをご説明しました。今回の新しいIXARCロータリーエンコーダは、1つの本体に位置測定用のアブソリュート測定と、回転速度の検出に適したインクリメンタル測定の2つの機能を併せ持つハイブリッドエンコーダとしてもご利用いただけます。

さらに1回転あたりの分解能(ppr:plus per revolution)をプログラマブルに任意に変更することができます。

POSITAL社のロータリーエンコーダ・IXARCシリーズ。分解能を任意に変更できるユニークな機能を有する。

従来のエンコーダでは出力パルスのデジタル信号を4逓倍にして、分解能を高めることはできました。しかしIXARCシリーズのように、分解能を任意に変更することはできませんでした。従来のエンコーダを使用した経験のある方は、分解能を可変できるというメリットをすぐにご理解いただけるでしょう。

*逓倍:周波数をn倍に変換すること

たとえば、エンコーダの分解能が3600pprであったとします。単純に計算すると、角度が1度あたり10パルスの出力になりますから、エンコーダが検知できる1パルスあたりの最小角度は0.1度ということになります。ここで、もしもお客様に納入する機械の仕様が変更され、0.025度の単位で位置決めをしたいというご要望が来たとしましょう。

従来であれば、0.025度という精度に合わせて、分解能14400pprのエンコーダを別途用意するか、ギヤードモータのギヤ比を変えるなど機構部の見直しが必要になります。

しかし、IXARCシリーズの場合は、このような機械の仕様変更に合わせて、そのつど分解能をソフトウェア的に任意に変更できるため安心です。エンコーダ自体の汎用性を高めることで、工場や代理店が余分な在庫数を持つことなく、少量の在庫のみで対応できるようになるわけです。在庫量が減れば、サプライチェーン全体もシンプルになるでしょう。

またシステム設計側でも、発注の期限が短くても対応してもらえるので安心です。極端な場合は、装置の設計仕様が決定されていない段階からでも、事前にエンコーダを発注し、あとから装置の仕様に合わせて分解能を設定すればよいことになります。もちろん予備部品も手に入れやすくなり、在庫切れの心配もありません。このように設計時間や調達時間の短縮化を実現できるようになります。

POSITAL社のIXARCシリーズでは、分解能を最大16384pprまで、任意のパルス数で設定できます。また分解能だけでなく、回転方向(CC/CCW)や、出力ドライバーの信号方式(プッシュ-プル:HTL、またはRS422:TTL) も、ソフトウェア上のパラメータを通して変更することが可能です。

これらのパラメータ設定には、特別なソフトウェアやアプリケーションのインストールも不要です。分解能を変更するために必要な機材といえば、「UBIFAST設定ボックス」と、WiFi対応のスマートフォンやタブレット、またはノートPCのみでOKです。もちろん、ご自身のスマートフォンからでも、その場で簡単に分解能を変更できます。

オプション購入できる「UBIFAST設定ボックス」。スマートフォンやタブレットとWiFi経由で通信し、エンコーダの分解能を任意に設定。

スマートフォンでIXARCシリーズの分解能などのパラメータを変更しているところ。数ステップで簡単に設定できる。

さらに各エンコーダに関する設定情報は、POSITAL社のERPシステム側にすべて送信されるため、将来の機種交換の際にも、これらの過去データを参考にすることも可能です。つまりXARCシリーズは、単なるエンコーダではなく、ある種のIoTデバイスであり、スマートマシンとしての機能も持ち合わせているのです。

次回は、実際にIXARCシリーズとUBIFAST設定ボックスを使って、分解能を任意のパルス数に設定する手順について詳しくご説明したいと思います。

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