2017 .1.30

【連載3】こっそり教える、エンコーダーの秘儀

メンテナンス費用を大幅に減らす、POSITAL FRABAアブソリュートエンコーダの特許技術とは?

前回の連載では、エンコーダーの構造と種類について解説しました。エンコーダーは、その構造で光学式と磁気式に大別され、信号検出の方法によって、インクリメンタル式とアブソリュート式に分類できることを確認しました。

 

さて第3回目の連載では、いよいよPOSITALのエンコーダーの秘密について、ひとつずつ解き明かしていきたいと思います。同社にも光学式と磁気式の「IXARCシリーズ」と呼ばれるエンコーダーが用意されています。ここでは、磁気式アブソリュート型エンコーダーについてご紹介しましょう。

 


磁気式アブソリュート型エンコーダー「IXARCシリーズ」。分解能12ビット(4096ppr)、回転数32768まで絶対位置を検出、保持できる。

 

IXARCシリーズは、工場の自動化やモビリティ(移動機械)まで、幅広い用途で用いられるエンコーダーです。機械設備の物理的な制御では、高精度かつリアルタイムな情報は必須のものです。特に機械の接合部、ドライブ(モータ)シャフト、プーリーなど、角度や位置を精密に測定するために、エンコーダーは重要な役割を果たす要素技術です。

 

前回、触れたようにアブソリュート式は、エンコーダーの電源が入ると、すぐに特定の(絶対的な)位置情報を提供できます。また万が一、電源が喪失した場合でも、位置情報が記憶されているため、すぐに復帰します。電源が入ってない状態で、何かの拍子に機械が動いてしまっても、電源が戻った時点で即座に復帰し、正確な位置を検出してくれるため、工作機械やロボットなどの位置決め制御には欠かせないものです。

 

IXARCシリーズの磁気式アブソリュート型エンコーダーの大きな特徴は、磁気センサーを用いて角度や位置を検出していることです。磁気センサーと一口に言っても、一般的なコイルから、磁気抵抗素子など多種多様なものがありますが、IXARCシリーズでは「ホール素子」を採用しています。このホール素子は有名なので、ご存知の方も多いでしょう。

 

半導体薄膜に電流を流すと、ホール効果によって、磁束密度や向きに応じた電圧が出力されます。この原理を利用して磁場を検出することができます。ホール素子(センサ)の特徴は、磁束密度の変化が小さくても磁場を検出しやすいことです。

 

そこでモータなどのシャフトに直結した磁石が回転すると、正弦波が出力され、それをデジタル変換しパルスとして出力することで回転位置を知ることができるのです。ホールセンサは、このようなエンコーダーのみならず、非接触スイッチや、電流センサなど、幅広い用途で使われています。

 

アブソリュート型エンコーダーでは、前回の説明で示した光学式のように、2進コードを刻んだスリットと、マルチターン(何回ぶん回転したか)を記憶する機械式ギアなどによって、絶対位置を検出することも可能です。しかし磁気式の原理は、光学式よりももっとシンプルです。IXARCシリーズでは、こういった複雑なメカを一切使っていません。そのため、衝撃や振動に強く、堅牢で耐久性があり、コンパクトな設計が行えるのです。

 

 


光学式のアブソリュート型エンコーダーに使われるディスク。この円周上で2進コードに対応するスリットが刻まれ、1回転における絶対がわかる。
たとえば図の5の位置では、G0:L、G2:H、G3:H、G4:L(L:ローレベル、H:ハイレベル)の信号が検出される。

 

回転位置の検出には、ホールセンサーと磁石と電子回路によって、シングルターンの回転位置に応じたパルスをカウントします。これは前回ご紹介したインクリメンタル型の出力と同様のものです。しかし、絶対位置を記憶しなければならないため、さらにマルチターン時の回転数も同時に検出し、回転数を含めた絶対位置を32ビットMPUと内蔵の不揮発性メモリで記憶しているのです。

 


ホールセンサ(磁気センサ)による位置検出の基本原理。シャフトに直結した磁石が回転すると、正弦波が出力され、それをデジタル変換し、パルスとして出力する仕組み。

 

当然のことですが、電子回路を使ったシステムでは、電源が必要になります。もちろん不揮発性メモリにデータを記録するにも電源は必要です。しかし、IXARCシリーズのアブソリュート型エンコーダーには、バッテリなどの電源はありません。実は、これが他のエンコーダーメーカーの製品とは大きく異なる差別化のポイントになっているのです。

 

しかし、魔訶不思議ですね。なぜ電源がないのに電子回路を動かせるのでしょうか? この連載のタイトルとおり、最後に“こっそり”とヒントだけ呟いておきます。それは“自己発電”です。次回は、どうやってIXARCシリーズが必要な電源を得ているのか、その原理について詳細にご説明したいと思います。それでは、また次回をお楽しみに。

 

コラムで取り上げた製品についてはこちら

製品 POSITAL FRABA
バッテリーレス アブソリュート ロータリーエンコーダ
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