2026 .3.23
バッテリレス、ギアレスが新たな常識?!アブソリュートエンコーダの最新トレンド
Unitree Roboticsの人型ロボット機体によるカンフーやダンスの動画がメディアを賑わしています。2026年の春節に放送された中国国営テレビのネット動画を見た人も多いのではないでしょうか。ロボティクス技術を加速させている技術としてAIが最右翼であることは間違いありません。しかし、それを実現するコンポーネントやセンサにも注目してみてください。というのも、ロボットダンスの複雑な姿勢制御にはAI技術が不可欠ですが、その制御を物理的に実行するハードウェアにもしかるべき性能や特性が求められるからです。今回のコラムでは、産業ロボット、AVG/AMR、各種サービスロボットの関節やアクチュエータに欠かせないアブソリュートエンコーダ、とくにマルチターンエンコーダのトレンドについて解説します。

自動化の発展によるマルチターンエンコーダの需要の増加
産業ロボットは、いまや閉鎖区域だけでの作業で済まなくなっています。自動車の組み立てラインに人型ロボットが導入されたり、人の作業エリアと共存する協働ロボット、オフィスや店舗、さらには一般家庭でも稼働するサービスロボットの市場も広がっています。これらロボットの市場拡大に伴い、ロボットの車輪や関節など可動部分の制御に欠かせないマルチターンエンコーダのニーズも高まっています。世界市場におけるマルチターンエンコーダの市場規模は、23億ドル(2024年)と推定され、2035年には45億ドルまで拡大するといわれています。このうちバッテリレスマルチターンエンコーダは12.4億ドルとされ、2033年には30.8億ドルに成長すると見込まれています。
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なぜバッテリレス、ギアレスが注目されるのか
では、なぜ次世代ロボットではギアレスやバッテリレスのセンサが注目されているのでしょうか。従来のギア式のアブソリュートエンコーダは、50年以上の実績を持つ安定した技術です。しかし、高速回転や急加速、急減速に弱く、回転数の記憶に制限があるといったデメリットがあります。また、バッテリ式のエンコーダは高速回転や加減速に強くマルチターンの範囲は広いものの、バッテリの消耗や交換の問題があり、そのための設計やメンテナンスを考慮しなければならなりません。回転回数や位置の保持にも電源が必要とされます。機構部品やバッテリの存在は、信頼性や堅牢性を考慮する上でエンコーダの設計コスト、製造コストの増大につながります。また、無数のセンサが必要な人型ロボットやロボットアームではバックアップバッテリへの配線が増え、配線の複雑化は、機器全体のメンテナンスや信頼性にも影響し、バッテリ交換は接続ミスや管理不備といったリスクを増やすことにもなります。
一方、バッテリレスおよびギアレスアブソリュートエンコーダは、このような機構部品やバッテリがないため、メンテナンスが不要で、低速域でも高速域でも安定したセンシングを提供します。もちろん、複雑な配線も不要で、低コスト、省スペース、低消費電力を実現し、電動バルブや電動アクチュエータ、ロボットなどの設計や量産に大きく貢献する上、昨今必要性が増している脱炭素やSDGsといった環境負荷軽減に対する取り組みにも合致した製品であるため、一段とニーズが高まっています。
POSITALのアブソリュートエンコーダとUBITOのウィーガンドセンサ
ケーメックスONEでは、これらバッテリレス、ギアレスのニーズにお応えする製品を取り扱っています。それが、ドイツのセンサメーカーFRABAグループのPOSITALとUBITOの製品です。POSITALは、ロータリエンコーダや傾斜計などの完成品の設計、開発、製造を行っており【★写真1】、UBITOはバッテリレスエンコーダに必要なウィーガンドセンサやマルチターンカウントASICなどを生産、販売しています【★写真2】。
【★写真1】POSITAL製品ラインナップ
【★写真2】UBITO製品ラインナップ
このうち、磁界の変化によるウィーガンド効果を利用したウィーガンドセンサは、バッテリレス、ギアレスのエンコーダを実現するための重要なセンサ部品となります。ウィーガンド方式のセンサ出力は、ダイナモ式の発電方式と異なり、回転速度に関係なく一定の出力信号を出すことができます。磁石に対してセンサを真上、真横のどちらにも配置できるため、センサユニットの小型化や用途に応じた形状設計も容易になります。センサに接触部分や機構部品がないため耐久性も高く、長期間、長時間稼働がなくても安定した性能を期待できます。ウィーガンドセンサは、POSITALの製品にも採用されています。ウィーガンド効果については以下の動画で解説していますので、是非ご覧ください。
センサ単体からプレス機、フォークリフトまで多彩なユースケースに対応
今後、サービスロボットや次世代ロボットへの採用拡大が予想されるバッテリレス、ギアレスエンコーダですが、実際にどのようなアプリケーションで利用されているか、POSITAL/UBITOの事例をいくつかご紹介します。
1. AGV/AMR/AGF
AGVなど自律走行ロボットや自動運転フォークリフトでは、ステアリングの制御、フォークの高さ制御、横転防止システムに採用されています。POSITALの製品はCANOPEN他、標準的な産業用インターフェースにも対応しているため、車両制御にも適用がしやすいです。耐振動性や耐衝撃性に優れているギアフリーのセンサは使いどころが多く、バッテリフリーセンサは、電動車両の制御にも適しています。
| <使用箇所> ・ステアリング制御 ・AGFのフォーク部分の高さ制御 ・横転防止システム |
<採用製品> ・アブソリュートロータリエンコーダ ・インクリメンタルロータリエンコーダ ・ドローワイヤセンサ ・キットエンコーダ ・傾斜計 |
<採用理由> ・CANOpenなどの産業用インターフェースに対応 ・高い品質と信頼性 ・多回転のパフォーマンスが高く、ギアボックスを必要としないためメンテナンスフリーで運用可能 ・優れた耐振動性と耐衝撃 ・バッテリレスのため省配線、省消費電力 |
2. プレス加工機
プレス加工機のプレス速度の制御、プレス昇降位置の制御にPOSITALのアブソリュートロータリエンコーダとドローワイヤセンサ (リニアセンサ)が活用されています。精密加工にはこれらのセンサ精度が重要です。プレス加工機は大きな装置ですが、バッテリレスは省配線化などに役立っています。
| <使用箇所> ・プレス速度の制御 ・プレスの昇降位置の制御 |
<採用製品> ・アブソリュートロータリエンコーダ ・ドローワイヤセンサ (リニアセンサ) |
<採用理由> ・高分解能と高精度かつコンパクトなデザイン(後付けが容易) ・高い信頼性 ・オープンインターフェースに対応 ・より精密なプレス加工を実現 ・バッテリレスのため省配線 |
3. モータ
DCモータやステッピングモータのサーボ化にもキットエンコーダを利用できます。回転数の管理や電源喪失時の位置記憶にも対応でき、中実軸、中空軸の双方に対応したキットエンコーダを用意しており、後付けによる機能拡張が可能です。後付けによる機能拡張が可能です。
| <使用箇所> ・DCモータのサーボ化 ・ステッピングモータのサーボ化 |
<採用製品> ・キットエンコーダ |
<採用理由> ・バッテリレス、ギアレスのためメンテナンスフリー ・多回転のパフォーマンス向上(最大24bit) ・機構面の柔軟なカスタマイズ ・簡単な取り付けとコンパクトなデザイン ・電源喪失時でも位置記憶が可能 ・自己診断機能による多回転性能の担保が可能 |
POSITAL、UBITO製品のサンプル、データシート、アプリケーションシート、開発キットなどもご用意しておりますので、ご興味をお持ちの方は是非弊社までお問い合わせください。
コラムで取り上げた製品はこちら
POSITAL FRABA バッテリーレス アブソリュートロータリエンコーダ
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POSITAL FRABA バッテリーレス アブソリュートロータリエンコーダ
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