産業用イーサネットスイッチとは?what-industrial_ethernet_switch

この記事の結論(30秒で分かる要点)
  1. イーサネットスイッチは、宛先のMACアドレスを見て必要なポートだけにデータを送る機器。全ポートに垂れ流すハブより効率的
  2. 産業用は一般用(商用)と違い、耐環境性(温度・振動・粉塵)・二電源バックアップ・リアルタイム通信・セキュリティで優位
  3. 工場のDX化・オープン化を進めるなら、ネットワーク管理機能を備えた「マネージドスイッチ」への切り替えが将来を見据えた選択

01よく耳にするイーサネットスイッチとはどんなネットワーク機器?

イーサネットスイッチとは、複数のPCや機器間のネットワーク(イーサネット)を構築する際に、効率的な中継機能を果たすスイッチのことです。当初コンピュータネットワークで中継に使われていた装置は「ハブ」でした。ハブ自体は単に中継しかせず、ポートに接続されたすべてのPCや機器に対して、無条件で物理層からデータを再送出していました。

これではデータを送りたい相手以外にも余計なデータを流してしまい、ネットワーク全体に負荷がかかります。そこで1990年代に登場したのがスイッチです。相手先の機器に固有に割り振られている「MACアドレス」を特定し、必要なポートのみに通信データを出力するため、機器間の通信を効率的に行えます。

ハブとスイッチの違いの図解。ハブは受信したデータを受信ポート以外のすべてのポートへ送信(フラッディング)し、スイッチは宛先のMACアドレスをもとに必要なポートだけへ送信する。

【図1】ハブとスイッチの違い。ハブは受信ポート以外のすべてのポートへデータを垂れ流します(フラッディング)。一方スイッチは宛先のMACアドレスを見て、必要なポート(PC2)だけにデータを送信します。
  ハブ スイッチ
データの送り先 全ポートへ無条件に再送出 MACアドレスを見て必要なポートのみに出力
ネットワーク負荷 余計なデータが流れ、トラフィックが増大 機器間の通信を効率化し、負荷を抑制
宛先の判断方法 判断しない(物理層で中継のみ) MACアドレステーブルと比較し転送先ポートを判断
※MACアドレスはOSI7階層参照モデルのレイヤ2(データリンク層)で定義されるため、スイッチは「レイヤ2スイッチ(L2スイッチ)」とも呼ばれます。

02産業用と一般用のイーサネットスイッチの違いはどこにあるのか?

ここまでは一般用(商用)イーサネットスイッチの説明でした。弊社が取り扱っている産業用イーサネットスイッチは、商用の一般的なスイッチとは異なるものです。通信がイーサネットである点は本質的に変わりませんが、産業用製品は機能面と性能面で商用製品より優れています。

たとえば産業用では、さまざまなフィールドバスとの相互接続性、リアルタイム通信性、ネットワークセキュリティ、デバイスの冗長性、本質安全性などの対策が施されています。さらに炭鉱や船舶などの過酷環境に加え、産業環境ではEMI(電磁適合性)や振動・衝撃・腐食、温度・湿度、粉塵・防爆などの特別要件が加わります。違いを表に整理すると次の通りです。

  一般用(商用)スイッチ 産業用スイッチ
使用環境 オフィス等の安定した室内環境を想定 温度・湿度・振動・衝撃・腐食・粉塵・防爆など過酷環境の特別要件に対応
EMI(電磁適合性) 一般的なオフィス環境レベル 産業環境のノイズを想定した設計
電源 基本的に単電源 二電源バックアップが一般的。幅広い動作電圧範囲をカバー
通信機能 標準的なイーサネット通信 フィールドバスとの相互接続性・リアルタイム通信性・冗長性
取り付け方法 据え置きが中心 DINレール取付・ラック取付に対応
※特に温度は産業用ネットワーク機器に大きな影響を与えるため、これらの要件を満たすよう設計されています。
Moxa EDS-205 産業用イーサネットスイッチ(EDSシリーズの一例)
この用途ならこの製品群

工場ライン・設備のネットワーク化を始めるなら ─ Moxa EDSシリーズ

DINレール取付・広い動作温度範囲に対応した産業用イーサネットスイッチの定番。小規模ならアンマネージド、管理・冗長化が必要ならマネージドタイプを選べます。PoE対応モデルならカメラ・無線APへの給電も1本のLANケーブルで完結します。

Moxa 産業用イーサネットスイッチ 製品一覧を見る

※掲載写真はラインナップの一例(EDS-205)です。ポート数・形状・仕様の異なる製品が多数あります。

03製造業のDX化を左右する! 産業用イーサネットスイッチの種類とは?

産業用イーサネットスイッチは、大別すると「アンマネージドスイッチ」と「マネージドスイッチ」の2種類があります。現在、日本の製造業の現場では安価なアンマネージドスイッチが多く使われています。しかし鉄道や電力などのインフラネットワークでは、機能面やセキュリティ面を考慮してマネージドスイッチが使用されています。

アンマネージドスイッチは従来のスイッチと同様の機能を持ちます。安価でプラグ&プレイで手軽に動作し、接続機器のMACアドレスを自動管理できるため、「単に機器同士を接続できれば良い・安価に済ませたい」というニーズに合っています。一方、高品質・高信頼性のネットワークや高度な制御が求められる産業分野では、マネージドスイッチが必要不可欠になります。

  アンマネージドスイッチ マネージドスイッチ
価格 安価 アンマネージドより高額
導入のしやすさ プラグ&プレイで手軽に動作 管理・設定が必要(RS-232・Webブラウザ・専用ソフトで設定可能)
管理機能 非対応 QoS設定・VLAN設定・リンクアグリゲーション設定などに対応
冗長化 非対応 ループ阻止・冗長化プロトコル・リングトポロジー対応でシステムダウンを防止
セキュリティ対策 非対応 アクセスコントロール・DoS攻撃防御・フィルタリング機能など
トラブル時の分析 非対応 SNMP・SYSLOG・ポートミラーリング対応
【表1】アンマネージドスイッチとマネージドスイッチの違い。前者は価格は安いが、機能面で考えるとマネージドスイッチに軍配が上がる。

04ここを抑えたい! 産業用イーサネットスイッチの選び方のポイント

産業用イーサネットスイッチの種類と機能を理解できたところで、具体的な製品選びをどうするか?という話になります。一般的な選定条件として、以下の5つの要件を考慮するとよいでしょう。

  • 必要なポート数が装備されているか? 接続可能なデバイス数で決定。1台で2~64ポートを収容できる製品が一般的。スタック機能でポート数を増やせる製品も。
  • 必要なパフォーマンス(高速性)が確保できるか? イントラネットは10M/100Mbps、重いファイル転送は1000Mbps(GbE)、最新ネットワークなら10Gbps。長距離・大容量には約100Gbps対応の光ファイバーも。
  • 信頼性(冗長機能)が確保されているか? 冗長化プロトコル・リングトポロジー対応でシステムダウンを防止。
  • セキュリティ面で安全性が担保できるか? 工場のオープン化・インターネット接続が進むほどセキュリティ対策は必須に。
  • 耐環境性は大丈夫か? 堅牢性、防塵・防爆、IP規格対応など、設置環境の要件を確認。

閉じられていた工場のレガシーシステムから脱却し、オープン化を進めてインターネットへの接続が加わると、セキュリティ対策は必須になります。その際にマネージドスイッチが一役買ってくれます。ネットワーク故障診断でも専用ソフトなどで原因を迅速に特定できます。将来を見据えてマネージドスイッチへの切り替えを視野に入れておくと良いでしょう。

Moxa IKS-G6824A 24Gポート レイヤ3フルギガビット マネージドイーサネットスイッチ(ラックマウント型・マネージド機の一例)
この用途ならこの製品群

インフラ・基幹網など止められないネットワークなら ─ Moxa マネージドスイッチ

QoS・VLAN・冗長化プロトコル対応に加え、独自冗長化機能「Turbo Ring」「Turbo Chain」で障害時のネットワークを最速20msで高速復旧。電力・鉄道などのインフラ用途で求められる信頼性を備えています。

マネージドスイッチのラインナップを見る

※掲載写真はラインナップの一例です。用途・規模に応じて複数のシリーズから選定できます。

05こんなことまでできる! マネージドスイッチの最新動向

工場のスマート化やIoT化、エッジデバイス対応など、これから製造業のDX化はどんどん進んでいきます。そのとき工場システムの根幹を支えるのはネットワークと関連周辺機器です。マネージドスイッチを導入することで、ネットワークの信頼性や管理、セキュリティ対策の準備が整います。

Moxa製 産業用イーサネットスイッチのラインナップの一部。ラックマウント型・DINレール型・M12コネクタ対応モデルなど用途別の製品群

【図2】Moxa 産業用イーサネットスイッチのラインナップ(一部)。設置形態(ラック/DINレール)やポート構成、耐環境性能の違いで幅広い製品が揃う。

弊社で取り扱うMoxaのマネージドイーサネットスイッチは、QoS、VLAN、ポートトランキング(リンクアグリゲーション)などの機能をサポート。さらに独自の冗長化機能「Turbo Ring」と「Turbo Chain」により、ネットワークの高速復旧(最速20ms)と信頼性を格段にアップしています。

また、運用を支える専用ツールも充実しています。

ツール できること
Mxview One スマートフォンなどで現場の作業員がいつでもネットワークや機器の状況をモニタリングできる産業用管理ソフトウェア
MXconfig 1回の設定で他の機器も簡単に設定可能なネットワーク構成ツール
TECHNICAL CONSULTATION

選定に迷ったら、正規代理店の技術相談(無料)

創業70年・Moxa正規代理店として、貴社の環境・用途に合った機種選定を技術スタッフがご支援します。「何ポート必要か」「マネージドにすべきか」段階のご相談も歓迎です。