2021 .8.6
新製品の「ODU-MAC RAPID」で、取り付け作業時間を50%削減!
モジュール式角形コネクタ、ODU-MAC Blue-Lineシリーズについてまるっと復習
こんにちは。ODUのプロダクトマネージャーの日高です。今回のコラムでは、角形コネクタ ODU-MAC Blue-Lineシリーズに新たに加わった「ODU-MAC RAPID」をご紹介しましょう。
ODUの角形コネクタは、コネクタの勘合回数、つまりコネクタの寿命によって、500回、1万回、10万回という3つのゾーンに分類できます。もちろん勘合回数が多いほど高機能になるので、価格も高くなっていきます。
ODU-MAC Blue-Lineシリーズは、勘合回数が1万回ですので(5000回も用意)、価格帯は中間のゾーンにあたります。医療、計測、半導体、自動車など幅広い分野で採用いただいています【★写真1】。
【★写真1】角形コネクタ市場を寿命と価格で分類。今回取り上げるODU-MAC Blue-Lineシリーズは、勘合回数が10000回の中間ゾーンにあたる。
本題に入る前に、ODU-MAC Blue-Lineシリーズについて簡単におさらいしましょう。
本製品は37ユニット(最大370極)のモジュールを取り付けて、高密度実装が可能なコネクタです【★写真2】。モジュールには、信号線・動力・大電流・同軸・エアー(流体)・光ファイバー・高速データ伝送用などが用意され、それらをブロックのように組み合わせて使えます【★写真3】。
【★写真2】高密度実装が可能な角型コネクタ「ODU-MAC Blue-Lineシリーズ」。レゴブロックのようにモジュールを選んで自由にレイアウトできる。
【★写真3】 Blue-Lineシリーズのモジュールの種類(最新カタログより抜粋)。信号線・動力・大電流・同軸・エアー(流体)・光ファイバー・高速データ伝送用などを用意。
ODU-MAC Blue-Lineは1ユニット2.4mmを基準に、モジュールによってサイズが変わります。モジュールの着脱は、工具を使わずにクリップで簡単に行えるので便利です。また追加でPCBモジュールを取り付けられます。
ハウジングは手動と自動の2タイプがあり、ロッキング方式によって、レバー式、スピンドル式、プッシュロック式の手動着脱式と、自動着脱式を用意しています【★写真4】。自動着脱式には4種類のフレームがあり、各12/18/26/37ユニットのモジュールに対応できます。モジュールが埋まらないときは、ブランクユニットで隙間を埋められます。
【★写真4】Blue-Lineシリーズのロッキング方式。手動着脱式(レバー式、スピンドル式、プッシュロック式)と自動着脱式があり、MAC RAPIDはプッシュロック式を採用。
メンテナンス時間を50%、半分削減するODU-MAC RAPIDとは?
さて、ここからが本題です。ODU-MAC RAPIDのハウジングサイズは、中間サイズ2のホワイトとブラック、サイズ4のホワイトが追加されています。脱着方式は手動式のスピンドルロックタイプ。ハウジングの防水性能はIP4X、難燃グレードはUL94V0L、使用温度は-40℃~+125℃とワイドです。
RAPIDという名称からも想像がつくように、素早く簡単に組み立てができる点が大きな特徴です。従来製品と比べて、メンテナンス時間が50%、なんと半分で済むのです!【★写真5】。では、なぜ作業時間が簡単になるのか、その秘密を動画にて解き明かしていきましょう。ここからはハウジングを分解し、ケーブルを取り付けるまでの様子を示します【★動画1】。
【★写真5】ODU-MAC RAPIDは、その名の通り従来製品と比べて、メンテナンス時間が50%、半分で済むという特徴がある。
【★動画1】従来のケーブル交換と比較すると、RAPIDでははるかに手際よく交換が可能になったことがわかる。
なお、動画1で紹介した魚の骨のような形の「ストレインリリーフ」(銀色の金具)【★写真6】は、この部分にタイラップでケーブルを結んで、抜けを防止することができます。サイズ2は1つ、サイズ4は両サイドにストレインリリーフを取り付けられます。
【★写真6】ハウジングの奥に見える魚の骨のような銀色の金具は「ストレインリリーフ」と呼ばれる部品。この部分にケーブルをタイラップで結んで抜けを防止。
必見! カタログでは分からない工具の使い方を大紹介
続いて、専用工具の使い方についても簡単にレクチャーさせていただきます。この専用工具は、ケーブルとコンタクトを圧着する際に利用するものです。実は工具については、カタログだけでは詳しい使い方がよく分からないというお問合せをいただいておりますので、ここで設定も含めて詳しく説明します。
まずケーブル圧着に使うコンタクトですが、ODUのコネクタは、プラグ側のコンタクトは1種類で、標準径0.7mm~、特注で0.3mm~に対応できます。接点は2/4/6タイプを用意しています。一方、ソケット側のコンタクトは2種類を用意しています【★写真7】。1つ目は金属の削り出しで1つずつ精密に作られたスロット型の「ODU TURNTAC」、もう1つは大電流対応のラメラ構造の「ODU LAMTAC」です【★写真7】。
【★写真7】ソケット側のコンタクト。金属の削り出しで作られたスロット型の「ODU TURNTAC」、もう1つは大電流に使用できるラメラ構造の「ODU LAMTAC」を用意。
コンタクトの圧着方法、ポジショナーなど専用工具の使い方については、以下で説明します【★動画2】。
【★動画2】マニュアルだけではなかなか伝わりづらい専用工具の使い方。動画で見るとわかりやすい。
圧着作業前の準備として、黒いポジショナーのセッティングと設定があります。このポジショナーは、ケーブルの太さに合わせて、圧着の位置決めを行うために必要な部品です。なくても良いのですが、上手に圧着できるようにセット購入することをお勧めします。
まず圧着工具の裏側からポジショナーを取り付けます【★写真8】。次にポジショナーの設定をします。設定値はカタログを参照してください(ここでは圧着工具0.62/ポジショナーセット番号9)。ポジショナーのダイヤルを番号9にセットします【★写真9】。次に工具の電源を入れてつまみでデジタル値0.62を入力します。設定したら工具の裏側の固定ねじを締めつけます【★写真10】。
【★写真8】専用工具の裏側からポジショナーを右に回して取り付ける。さらに中央から六角レンチで締めつける。
【★写真9】ポジショナーを上にあげてダイヤルを9番にセットする。この9番は、ケーブルのサイズによって変わる値で、カタログに記載されている数値を参照する。
【★写真10】専用工具の電源をオン。おもて面のデジタル表示を見ながら、つまみを回してデジタル値0.62を入力。この値もカタログの値を参照する。
カタログにはケーブルの剥きシロが記載されているので、その長さ分だけストリップします(ここでは4mm+0.5mm)。そのあと圧着工具にピンを先に入れてから、剥いたケーブルを挿入し、工具で圧着します。これで作業は終了です【★写真11】。
【★写真11】圧着工具側に先にピンを穴にセットしてから、4.5mmの剥きしろのケーブルを挿入し、圧着する。
このデモで、私はプラグ側のコンタクトが0.7mmの最小径を利用しました。老眼の私には、ちょっと作業が大変でしたが、目の良いみなさんならば大丈夫でしょう。
最後に専用工具のボタン電池の交換についても触れたいと思います。こちらも問い合わせが多い質問です。キャリブレ―ションの方法などは、以下の動画を参考にして下さい【★動画3】。
【★動画3】問い合わせの多いボタン電池の交換方法。動画で詳しくご説明します。
今回はこれで終了です! また次回お会いいたしましょう!
コラムで取り上げた製品についてはこちら
製品 | ODU-MAC Blue-Line |
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