2020 .8.3
前年比233%増!なぜODUのコネクタが医療機器に採用される?実例一挙紹介!(後編)
医療従事者も大注目! 可動式の手術用X線&CT装置に最適なODU
こんにちは。日高です。前編では、コロナ禍によって人工呼吸器や人工心肺装置の増産が各国で相次ぎ、それに伴ってODU製品に大きな需要が高まっていることをご説明しました。後編では、アフターコロナにおける今後の医療機器の変化と、新しいニーズについて考えてみましょう。
現在、人工呼吸器や人工心肺装置のみならず、他の医療機器に対しても、ODUのコネクタが注目されています。たとえば、紫外線洗浄装置(ロボット)や、可動式の手術用X線&CT装置の需要が新たに掘り起こされているのです。
これまで従来の診断装置は、ほとんどが据え置き型であり、装置そのものを動かすことはできませんでした。そのため、検査をした後にその場で滅菌したり、洗浄したりする手間がかかりました。紫外線照射による滅菌も注目されている今、できればコンパクトな可動式にして、院内の専用ルームに移動し、滅菌や洗浄が行えるようになれば便利でしょう。
そこで現在、多くのメーカーが可動式でコンパクトな医療機器の開発に取り組んでいます。そうなると着脱式コネクタによって、何度もケーブル類を外せるような機構が求められます。さらにしっかりとロックできる安全性もポイントになります。ここにODUコネクタの持つ高い着脱回数と堅牢性が適していると高い評価を受けているのです。
また、もう1つ重要な点は、すでにODU製品は医療認証が取られており、現場での利用実績が多くあることです。新しく開発した機器に対して、いきなり実績のないコネクタを採用するわけにはいきません。また医療認証を取るには時間もコストもかかります。それならば、最初から実績のあるODU製品を使ったほうが迅速に開発も進みます。
可動式の手術用X線装置に「MACシリーズ」が検討中
国内のある大手医療メーカーでは、可動式の手術用X線装置に「MACシリーズ」(Blue-Line)【★写真1】を採用しています。
というのも、手術用のX線装置では、診断モニターに患部の高精細な画像をリアルタイムに映し出す機能がトレンドになっています。
そのために、大容量の画像データを高速に転送する必要があります。そこでイーサネットで10GbEのデータ通信が可能な信号ラインと、電源ライン(AWG14)を1つのモジュールとして組み合わせられるMACシリーズのBlue-Lineに各メーカーの注目が集まっています【★写真2】。
【★写真1】可動式の手術用X線装置に採用されている「MACシリーズ」(Blue-Line)。
スプリングワイヤ機構を採用しており、ものによってはODUの試験で1万5000回の着脱をクリア。
【★写真2】手術用X線装置で高精細画像をリアルタイムに映し出すために、
MACのイーサネット10GbEデータ信号モジュール(写真右)を選択。電源ラインと組み合わせて使える。
Blue-Lineはのコネクタ着脱回数は、標準スペックでは5000回ほどですが、ODUの試験で1万5000回をクリアしているものもあります。Blue-Lineは、何度でも着脱を繰り返して利用できる信頼性の高さとお求めやすさで医療機器に採用されやすい製品です。
近未来の手術室は遠隔ロボが大活躍! そこで使われるODUへの期待
最近の医療現場では「da Vinci Surgical System」のような手術ロボットが多く導入されるようになりました。da Vinci Surgical Systemの特許技術が切れたため、東京大学や東京工業大学など大学や研究機関で手術ロボットの研究が進んでおり、日本の大手メーカーでも実用的な手術支援ロボットの開発が続々と行われています。将来的には、さらに手術ロボットが普及していくものと予想されます【写真3】。
【★写真3】遠隔手術ロボットの開発が進むと、未来の手術室はこのような姿になるかもしれませんね。
そうなると手術室で使うことができるEMC対策が施されたコネクタの需要も増加します。前編で触れたように、ODUではノイズに強い小型丸型コネクタ「MINI-SNAP」【★写真4】も用意しており、ロボット用途にも適しているため、こういった需要にも対応することが可能です。
【★写真4】遠隔手術用のロボットに最適な「MINI-SNAP」。手術室で飛び交うノイズの影響を受けない
金属製ハウジングをチョイスできる小型丸型コネクタとして定評がある。
今後も医療機器にはODUの製品が活躍するシーンが増えていくと思われます。ケーメックスONEでは、新型コロナウイルスへの対策も含めて、皆さまにお役に立てるように、信頼性と実績があるODU製品の提案を積極的に進めていきたいと考えています。