2025 .6.24

医療機器/計測器/食品工場で見えないコストを下げる:プッシュプル丸型防水コネクタ

工場や製造現場では、とかくコストダウンが至上命題として扱われています。改善や工夫を得意とする日本の製造業では、限られた性能の機器でもうまく使いこなすことで対応してきました。これは日本企業の強みと言えますが、その分見えないコストが増えている場合があります。見えないコストとは、たとえば運用で機能や性能を補うことで発生する人的コストや工数です。人手によるオペレーションコストは実は数値化しにくく、うまく回っていれば放置されがちです。生産性や効率を重視するあまり、スループットなど性能面ばかりに目が行くと、メンテナンスや交換作業の重要性を見落とすことにもなります。

 

一例として医療機器や食品加工機などのハーネスがあります。メンテナンスや清掃、あるいは動作環境を考えると防水、耐環境性能は重要なポイントとなりますが、手作業でうまくやれば防水性能はあまり必要ないと判断されていないでしょうか。その手間が保守時間を延ばし稼働率と落としている可能性があります。今回のコラムでは、可視化しにくいメンテナンスコストの低減に貢献する「防水コネクタ」について解説します【★写真1】。

 

【★写真1】ODUの防水コネクタODU® MINI-SNAP

 

ODUの丸型コネクタのセレクションガイドをご用意しておりますので、こちらよりダウンロードしてご覧ください。※ダウンロードには会員登録 (無料)が必要です。

 

ODUのプッシュプル丸型防水コネクタ

ODUの丸型コネクタは、医療機器、測定器、食品加工工場向けに十分な防水性能を備えた製品が多数用意されており、耐水、耐環境性能はほとんどの製品が嵌合時IP68 (一部非嵌合時でもIP68) に対応しています。これらの防水コネクタには、脱着が簡単なうえ機密性が高いプッシュプルロック構造が採用されており、プラグとレセプタクルを差し込むとロックがかかり、プラグを指で引くとロックが解除されます。勘合時にケーブルを引っ張っても、内部のロッキングフィンガー(つめ)が溝に食い込むため、コネクタが抜けることはありません【★写真2】。

 

【★写真2】プッシュプルロック機構

 

他社の防水コネクタには、接続部をネジで固定するスクリューロック構造を備えたものもありますが、ネジ式の場合、閉め忘れ、ゆるみによる事故やトラブルにつながることがあります。スリーブ部分を持って抜き差しするだけのプッシュプルは、そのようなミスを未然に防ぐことができます。

 

耐久性が高いのも特長のひとつです。ODUは最大5,000回の脱着回数を保証していますが、他社製品でここまでの回数を保証しているものはありません。また、コネクタサイズは、プラグ外径で6.4mmから最大25mmまで、コンタクト数は4Pから40Pまで各種ラインナップされており、電源ラインのような太いコンタクトも可能です。さらに、カスタマイズにも対応しています。たとえば、サイズやピン数のオリジナル設計を始め、似たような形状のコネクタが並ぶ場合にコネクタの誤嵌合を防ぐため、誤挿入防止のキー(ソケットの切り欠きやプラグの突起)の位置を変更することもできます。特注でステンレス加工 (SUS316L等) も可能なため、コネクタ本体に耐腐食性が求められるケースにも対応できます。このように、使いやすさや信頼性はもとより、バリエーションの多さは、さまざまな機器の要件や設計に対応させるために有効です。

 

防水コネクタが必要とされるアプリケーション

水や湿気の侵入を防ぐ設計を施された防水コネクタは、その特性から洗浄が必要な箇所での使用に適しており、特に、医療機器や計測機器で多数採用されています。衛生面が重視される医療機器では洗浄や消毒できることが要件とされることが多く、計測機器は高温・低温・多湿といった環境下での使用、屋外での利用要件でコネクタにも防水性能や耐環境性能が求められます。以前は、液体のかかる箇所を囲ったり、ケーブルグランドを使用して液体を防ぐ方法がとられていましたが、清掃ができなかったり、メンテナンスや調整時に余分な工程や作業が発生したりと、利便性が下がるデメリットがありました。その点、防水コネクタを使用することで清掃およびメンテナンスにかかる時間と労力が削減され、結果としてコスト低減を実現することができます。

 

また、近年は食品加工機や食品工場の機器での需要も増えています。食品製造の現場では、加工機や制御機器が水による洗浄、加熱処理、低温処理の他、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)といった要件に耐えなければなりません。また、日本でも2021年から従業員50人以上の畜産、食品製造/加工/販売などにかかわる事業者はHACCP(食品の安全を確保するための衛生管理手法)に準拠することが義務付けられました。HACCPそのものは、特定の機材や部品の使用を規定するものではありませんが、安全管理基準を満たすため、機器や手順の衛生面からの消毒や洗浄といったメンテナンス、事故防止対策が求められます。これにより、防水コネクタへのニーズは更に高まるのではないかと予想されます。

 

防水コネクタの選び方

防水コネクタを選定する際、まず確認する必要があるのは、かかる液体が何かという点です。洗浄で薬品を使用する場合は、耐薬品性を備えた材質のコネクタを選ぶ必要があり、油がかかる箇所では樹脂製よりも金属製の方が安全です。

 

コネクタのサイズも重要です。一般的に、防水構造を備えた防水コネクタは大きくなりがちで、狭い場所では使いにくいとされていますが、ODUのプッシュプルコネクタは小型なのでスペースが制限されている場所にも適しています。

 

メンテナンスや運用のしやすさにも注目してください。たとえば、ネジ式コネクタの場合、防水性を保つためにもメンテナンスの一環としてトルク管理が必要となりますが、出来ない場合には簡単かつ信頼性の高い嵌合を実現するプッシュプルのようなコネクタをお勧めします。

 

また、最近では機械のモジュラー化が進んでおり、モジュールを取り換えて別の機能を機械に付与することで多品種少量生産につなげるケースも増えています。このような機械の場合、ODUのプッシュプルコネクタを使用すれば変更のたびにネジ締め等をすることなくモジュール交換が可能なうえ、最大5,000回の着脱保証は配線のライフサイクルの向上につながります。

 

 

ODUの防水コネクタにご興味をお持ちの方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。また、防水以外にも多数の産業用コネクタを取り揃えておりますので、お困りごとがありましたら、是非ご相談ください。

 

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プッシュプルロッキング付 小型丸型コネクタ

ODU® MINI-SNAP ミニスナップ

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