2016 .12.5

【連載1】こっそり教える、エンコーダーの秘儀

用途により多種多様な種類があるエンコーダー

POSITAL社の製品群。インクリメンタル/アブソリュート型エンコーダー、リニアセンサー、傾斜計、各種インターフェースモジュールなどを用意しています。

 

機械やロボットなどの位置・回転を知るために使われるセンサーといえば、「エンコーダー」がよく知られています。このコラムでは、エンコーダーを中心としたセンサーまわりのちょっと役に立つ知識やウンチクについて、ご紹介していきたいと思います。

 

エンコーダーは、信号の検出原理によって「光学式」「磁気式」「電磁誘導式」に分けられます。検出方式では直線移動を計測する「リニア式」と、回転移動を計測する「ロータリー式」があり、出力方式では相対的な位置を知る「インクリメンタル型」と、絶対的な位置を知る「アブソリュート型」に大別されます。いま世の中には、このように多種多様なエンコーダーが、用途に適した形で様々なシーンで使われているのです。

 

さて弊社は、FRABA社グループのPOSITAL(以下、FRABA社)が開発したロータリー・エンコーダーなどを主に取り扱っています。同社は約100年の歴史を持つドイツの老舗企業のひとつで、1973年に世界初となるアブソリュート型光学式エンコーダーの開発に成功したことで知られています。産業用エンコーダーのほかにも、耐久性に優れたリニアセンサーや傾斜計、関連する各種インターフェースモジュールも販売していますが、その話に関しては追い追いご紹介していきましょう。

 

エンコーダーの分解能を任意に設定できる強みとは?

エンジニアがシステム設計でエンコーダーを選定する場合、最も気になる点は何でしょうか? まず第一に挙げられるのは、精度に関係する分解能でしょう。最近では数十万pprから数百万pprもの高分解なエンコーダーが登場していますが、これらは半導体製造装置や光学計測器など、かなり特殊なケースで使われるものです。一般的には性能・用途・コストのバランスによって、数1000pprから数万pprのエンコーダーを使うことになるでしょう。

 

たとえば3600pprの分解能をもつエンコーダーでは、計算上ではモータの回転を0.1度の単位で計測できます。もし最小角度を0.05度で計測したい場合には、分解能が7200pprのエンコーダーを用意する必要があります。従来のエンコーダーでは、電子回路で出力信号を4逓倍や8逓倍にして精度を高められますが、分解能を任意に細かく設定することはできませんでした。

 

しかし、ある機械やシステムにエンコーダーを導入する際に、もし1種類の製品だけで分解能を任意に設定することができたとしたら、どんなに便利なことでしょうか? もちろん何か設計や仕様の変更があっても、エンコーダー側でカバーできます。在庫も1種類のエンコーダーのみで済むため、機器の汎用性が広がり、メンテナンス性も高められるのです。

 

実は、そんなお客様の強いご要望にお応えできるのが、POSITAL社のプログラマブル・エンコーダー「IXARCシリーズ」なのです。同シリーズは、産業用に適した堅牢な磁気式を採用したインクリメンタル/アブソリュート兼用のハイブリッドエンコーダーです。

 

POSITAL社のプログラマブル・エンコーダー「IXARCシリーズ」。

 

WiFi対応のスマートフォンやタブレットなどを使って、最高分解能を16384pprまで任意に設定できる点が、他社にない大きな特徴になっています。

 

またアブソリュート型として使用する際には、電源が切れて機械の位置を復帰させるためには、絶対位置データを記憶しておかなければなりません。メモリーにデータを保持する場合には、当然ながらバッテリーが必要になります。しかしIXARCシリーズでは、電池を使わずに自己発電する独自の仕組みがあります。次回以降から、このようなPOSITAL社のエンコーダーがもつユニークな秘密について、ひとつずつ掘り下げて解き明かしていきたいと思います。それでは次回をお楽しみに!

 

コラムで取り上げた製品についてはこちら

製品 POSITAL FRABA
バッテリーレス アブソリュート ロータリーエンコーダ