2020 .7.10

前年比233%増!なぜODUのコネクタが医療機器に採用される?実例一挙紹介!(前編)

新型コロナ・クライシスで爆発的にニーズが増えたODUコネクタ

こんにちは。日高です。新型コロナウイルスの影響で長く自粛生活が続いていましたが、ようやく緊急事態宣言も解除され、日常の生活に戻りつつあるこの頃です。しかし新型コロナウイルスは、第2波、第3波が起きるリスクもあり、まだまだ気を抜けません。

そんな状況において、アフターコロナでは従来の価値観や常識が変わる「ニューノーマル」な世界が訪れると言われています。それは日常生活のみならず、ビジネスの世界でも同様でしょう。実は弊社が取り扱っている製品にも大きな変化がみられます。

そこで今回は、このような状況において需要が大きく伸びているODUのコネクタ製品に関して皆様にお伝えしたいと思います。

ODUは、ご存じの通り着脱回数に優れた高機能コネクタ群を提供しています。これらは産業用として、さまざまな分野で幅広くご採用を頂いておりますが、最近ではコロナの影響により医療機器への適用が爆発的に増加しているのです。

以前このコラムでもレポート(撮影は2019年3月のもの)させていただいたODUの製造拠点である上海工場では、特に人工呼吸器メーカーからODUの「MEDI-SNAPシリーズ」の受注が急増し、受注率も今年の2020年2月末時点で昨年比233%に上っています。そのため同工場は24時間120%稼働の3シフトで対応しているところです。

この数週間で、アメリカの世界最大手の医療機器メーカーに加えて、米国屈指の大手自動車メーカーからも約80万セットほどの受注が見込まれています。欧州でも軍事・自動車メーカーが人工呼吸器や関連医療機器の製造を行うことになっており、さらに需要が増えそうな勢いです。

なぜ医療分野で、ODUコネクタが大人気なのか?

さて、現在爆発的にニーズが高まっているODUは具体的にどんな場所で採用されているか紹介したいと思います。

国内屈指のある医療機器メーカーでは、手術室のモニター部のコネクタに「MINI-SNAPシリーズ」【★写真1】を採用しています。手術室には多くの機器が配置され、ノイズが非常に多い環境です。しかし大事な命に関わるため、機器の誤動作は絶対に許されません。そこでノイズに強い製品が絶対条件になります。さらに医療機器は滅菌処理を施し、常に清潔な状態に保つことも重要です。MINI-SNAPシリーズは、金属製のハウジングで、耐ノイズ性に優れています。構造もユニークで、プッシュプル式ロックのため、コネクタ接続時に「カチ」と押して手軽に勘合を確認でき、一度ハマると絶対に抜けることがありません。

【★写真1】ノイズが飛び交う手術室で使える「MINI-SNAPシリーズ」。
金属製のハウジングで、耐ノイズ性に優れている。プッシュプル式ロックも特徴。

国内だけでなく、MINI-SNAPシリーズは世界中の医療機器に採用されています。
前出のように人工呼吸器や人工心肺装置(ECMO:Extracorporeal membrane oxygenation)がフルピッチで製造されていることはご存知でしょう。先日ODUは、ICUやオペ室向けの医療技術を提供する世界有数の企業の新しい人工心肺装置【★写真2】に使われるコネクタにMINI-SNAPシリーズが選ばれたことを発表しています。新しい装置は10年以上継続して生産されるため、ODUの信頼性がどれほどに高いかを示しています。

【★写真2】MINI-SNAPシリーズが採用された人工心肺装置。医療の分野におけるODUの実績は非常に高い。

また、フランスのロボットメーカーは病院や公共機関で消毒、除染に活躍する自動ロボット(UGV)【★写真3】にMINI-SNAPの防水タイプを採用しました。ODUの堅牢性は医療における自動制御の分野でも注目されていることがわかります。

【★写真3】キャタピラで段差を乗り越え、突き出た3本の管の先から消毒液が噴霧される。
コネクタは防水で、かつ振動などに強くなければならない。まさにODUがぴったりだ。

「MEDI-SNAPシリーズ」【★写真4】も人気製品です。MEDI-SNAPシリーズは人工呼吸器のコネクタとして世界中の多くのメーカーに採用されており、人工呼吸器のコネクタのデファクトスタンダードとして使われているのです。

【★写真4】人工呼吸器のコネクタでデファクトスタンダードになっている「MINI-MEDIシリーズ」。
オートクレープに対応するハウジング材質で滅菌処理にも耐えられる。

MEDI-SNAPシリーズは、MINI-SNAPシリーズと同様にプッシュプル式ロックで、滅菌処理に耐えられるコネクタです。本コラムで以前ご紹介したように、オートクレープに対応するハウジング材質(PEI)を選択できます。

また誤接続を防止するために、コネクタ部にキー溝加工が施されていることもポイントです。たとえば同じ4極のコネクタであっても、キー溝によって勘合する際の角度(0°/40°/60°/80°/170°/205°)が定まっているため、異なるコネクタを接続できないように工夫されているのです。

さらに人工呼吸器では、グリーン、イエロー、レッドなど、接続の箇所を色で識別できるように規定しています。そこでMEDI-SNAPでは、バックナットに7色のカラーコードによってコネクタを識別できるようにしており、人工呼吸器との親和性が高いのです。

新型コロナ患者の命を救うあの機器にもODUコネクタが採用!

さらに新型コロナウイルスで注目を浴びた人工心肺装置(ECMO)の制御ユニットや血液循環用のポンプ、モニタ接続用などにもODUコネクタが使われています。

人工心肺装置で血液を循環させるポンプ部の圧力センサには、MINI-MEDシリーズが使われています。この部分は血液に触れるため、コネクタが使い捨てできるようになっています。これは年間で4万個もの需要があります。

ほかにもモジュール型の「ODU MACシリーズ」【★写真5】も採用されています。その理由は、洗浄する際に10万回もの着脱を保証する「スプリングワイヤー機構」が評価されているからです。

【★写真5】レゴブロックのようにコネクタモジュールを組み合わせて使える「ODU MACシリーズ」。
ハイスペックのSilver-Lineは10万回、廉価版のBlue-Lineは5000回以上の着脱を保証。

このように新型コロナウイルスへの対策により、高機能なODUコネクタがいま大注目されているのです。次回は、医療従事者が注目している新しい手術用X線やCT装置におけるODU製品のニーズについてご紹介したいと思います。