2017 .6.30

【連載8】こっそり教える、エンコーダーの秘儀

エンコーダをアクチュエータにダイレクトに組み込む秘儀

これまでエンコーダにまつわる様々な秘儀をご紹介させていただきました。エンコーダの最後の締めくくりは、ユニークな組み込み型のエンコーダキットについて触れたいと思います。

従来のエンコーダ製品は、単体の完結された製品として、モータ軸に連結するものでした。たとえば中空のカップリングに軸を連結させて、エンコーダを回転させるといった構造がオーソドックスなものでした。

しかし、近年ではエンコーダを内蔵したサーボモータが主流となり、更には、位置データ保存機能の信頼性向上とメンテナンス性の改善を図るために、位置データメモリのバックアップ用バッテリーを不要とする動きが出ています。

たとえば、POSITALの磁気式エンコーダは、以前ご紹介させていただいたように、ウィーガントワイヤの原理によって、バッテリーレスで稼働できるという最大の特徴があります。
実は、この専用チップを量産しているのはPOSITALなのですが、同社のバッテリーレス磁気式エンコーダをキットとして販売することで、バッテリーレスエンコーダをお客様のモータに容易に取り付けられるように選択肢を増やしているわけです【★写真1】【★写真2】【★写真3】。

【★写真1】磁気式エンコーダキット。非常にシンプルな構成で、バッテリーレスを実現。

【★写真2】磁気式エンコーダキットの基板部(センサー部)。

【★写真3】磁気式エンコーダキットをモータにダイレクトに組み込んだところ。
スケルトンカバーで内部を見えるようにした展示品。

具体的なキットの内容は非常にシンプルです。基本的には従来のPOSITALの磁気式エンコーダと構造は同じで、外部ノイズを遮断するボトムシールド、磁石付きの回転部(ロータ)、基板部(センサー部)、ハウジング、クリップのみで構成されています。内部を覆うケーシングについては不要なので付いていません【★写真4】。

【★写真4】磁気式エンコーダキットの分解・組み立て図。ボトムシールドは、モータからの外部磁界をシャットアウトするためのもの。

また、POSITALが提供する磁気式エンコーダキットは、[1]マルチターン(多回転)とシングルターン(1回転)の両信号が出力されるタイプ、[2]シングルターンの信号のみ、[3]インクリメンタル信号(+UVW相)のタイプによって、大きく3タイプをご用意しています。さらに表のように各タイプは出力信号(オープン使用のBISS、SSI、インクリメンタル、UVW)によって、複数のモデルをチョイスできます【★写真5】。

【★写真5】磁気式エンコーダキットのラインナップ。
[1]マルチターン(多回転)とシングルターン(1回転)、[2]シングルターンの信号のみ、[3]インクリメンタル信号(+UVW相)の3タイプをご用意。

では、これらの使い分けは、どうすればよいのでしょうか? まず検討すべきポイントは、磁気式エンコーダの分解能です。ご存知のとおり、磁気式エンコーダは構造がシンプルで堅牢という特徴がありますが、分解能は光学式と比べると高いほうではありません。

たとえばPOSITALの磁気式エンコーダの場合では、分解能は16ビットあるいは17ビットになります。お客様の用途によっては、光学式と同レベルの高分解能が求められるケースがあるかもしれません。バッテリーレスも実現したいし、高分解能も実現したいという、リッチな要件にお応えする秘儀についても、こっそりお伝えしましょう。

実は、お客様が持っているシングルターン(1回転)の光学式エンコーダと、このマルチターンのエンコーダキットの基板を組み合わせて使うことで、高分解の光学式バッテリーレスエンコーダをつくれるのです。

ここでPOASITALのマルチターン/シングルターンのエンコーダキットでは両信号に対応していますが、マルチターンのみを使えば最大32ビットまで対応できます。すなわち32ビット分の絶対位置を記憶できる高分解能なバッテリーレス・アブソリュート・エンコーダを実現できるわけです。

数社のお客様で、すでにこの方法を実際に検討していただいています。

またPOSITALのエンコーダキットは、お客様のユニークな情報を保存するメモリ機能(1024ビット)も有しています。たとえば、ボールネジにサーボモータとエンコーダを付けてアクチュエータとしてユニット化する際にアクチュエータのシャフト径やネジピッチなど、固有のデータをエンコーダ側に保持しておけば、後々のメンテナンスも容易になるでしょう。

このようにエンコーダキットは、従来の利用シーンを、さらに広げてくれるのです。もしPOSITALのエンコーダキットを検討されているのであれば、ぜひ弊社営業までご用命ください。写真のようなエバリュエーション(評価)キット【★写真6】もあり、従来のエンコーダ製品と比較しながら、POSITAL製品のメリットを十分に感じていただけると思います。

【★写真6】エバリュエーション(評価)キットを使って、導入前に既存製品と比較・検討も行えます。

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