2025 .9.8
大電流/高電圧コネクタを選ぶならODU-MAC®Blue-Line Powerコネクタ
高電圧/大電流ニーズに対応するBlue-Line Powerコネクタ
産業用機械やラインの設備、研究開発用の機器や測定器、EVや定置型蓄電池などの製品開発には高電圧/大電流を必要とするものが多く、電源ラインも特殊なケーブルやコネクタが求められます。他メーカーでは標準品で対応できず、特注品やカスタマイズ製品になることが多いなか、ODUには標準品でありながら高電圧/大電流に対応できるコネクタがあります。それが、今回ご紹介するODU-MAC® Blue-Line Powerコネクタです【★写真1】。
【★写真1】高電圧/大電流対応のODU-MAC® Blue-Line Powerコネクタ
初めに、Blue-Line Powerコネクタが属するODU-MAC® Blue-Lineについて簡単にご説明します。ODUのコネクタは、標準品としてラインナップが豊富なうえ、それぞれが耐久性や温度特性他に優れており、過酷な工場環境でも適用範囲が広いのが特長です。耐久性については、着脱回数10万回を保証するODU-MAC® Silver-Line (自動着脱用)とODU-MAC® White-Line (手動着脱用)がありますが、高性能である反面、コストニーズに対応しにくい面があります。そこで、コストパフォーマンスを求めるお客様の声を反映したのが、着脱回数の保証を1万回としたBlue-Lineで、Silver/ White-Lineと比べて30%程低いコストでご利用いただけます。
Blue-Lineは信号線と電源ラインのどちらにも対応していますが、今回のBlue-Line Powerコネクタは、電源ライン用の製品です。工場設備の電源ケーブルは頻繁に抜き差しするものではありませんが、機器や利用条件などによっては日々の保守点検作業で挿抜が発生することがあり、着脱回数10万回は必要ないが、1万回 の保証は有効というアプリケーションに採用されています。
Blue-Line Powerコネクタシリーズに採用されたLAMTAC® Flex方式のコンタクト
ODU-MAC®シリーズは概して高性能であり軍用に耐えるものも少なくありません。Powerコネクタにおいても同様ですが、力を入れずに簡単に抜き差しができるという特長があり、自動タイプで1極あたりの挿入力が16N、引抜力が6Nと非常に軽い力で挿抜できます。これを実現しているのが「LAMTAC® Flex (ラムタックフレックス)」という特殊なソケットコンタクトの構造です。LAMTAC® Flexは、ソケットコンタクトの内側全周に細い歯のようなコンタクトが奥まで並び、これがピンコンタクトに押し広げられるように稼働する構造になっています【★写真2】。
【★写真2】Powerコネクタに使用されているLAMTAC® Flex
Blue-Line Powerコネクタの仕様と選定ポイント
Blue-Line Powerコネクタには2極と3極のハウジングがラインナップされています。コンタクトのサイズはケーブル径で50から120スケアに対応しており、ケーブルは圧着でコンタクトに接続する場合と、ブスバー用の接続用ボルトを利用する場合の2種類から選択可能です。ブスバー用のM10のボルトでは240Aまで対応できます。定格電力はケーブルやコンタクトによって変わりますが、耐圧1,000V以上のアプリケーション事例もあります。モジュールソケット用のスペースも確保されており、Blue-Lineのモジュールを3極のハウジングには6ユニット、2極のハウジングには19ユニットまで取り付けることができます。この柔軟なシステムにより、信号や同軸、空気、液体、データ伝送、光ファイバなどを集約することができます。また、電源の容量によっては、ケーブルやコネクタの冷却が必要な場合もありますが、Blue-Line Powerコネクタも液冷、空冷ともに対応製品があります。
電源コネクタの設計や選定では、耐圧や定格電流などが注目されがちですが、運用面を考慮すると熱対策および温度管理も忘れてはならない選定ポイントです。同じコネクタでも、周囲の温度によって対応電流が変わるため、実際に装置が稼働する環境での周辺温度の把握は重要です【★グラフ1】。その上でメーカーや代理店に相談しながら要件にみあった製品を選定するのが良いでしょう。
【★グラフ1】LAMTAC® FLEX 16mmの周辺温度と対応電流の関係を示したグラフ。縦軸が電流値、横軸が周辺温度を表しており、周辺温度が高くなるほど電流値が小さくなっていることが分かる。
Blue-Line Powerコネクタが適しているアプリケーション
Blue-Line Powerコネクタは、元々、ヨーロッパのEVの高速充電向けに開発された製品です。とくに自動車業界では、バッテリの開発、検査に高電圧の装置や測定器のニーズが高まっています。この業界での着脱保証に1万回という平均的な基準があります。Silver-LineやWhite-Lineなら十分に要件を満たすことができますが、コスト要件の厳しい自動車業界に向けたシリーズが必要だったのです。現在は、工場設備や大型の測定器、エージング試験などでBlue-Line Powerコネクタの採用が進んでいます。
2025年8月現在、Blue-Line Powerコネクタは、自動着脱タイプのハウジングが供給可能となっています。2025年秋ごろには手動着脱タイプのハウジングもラインナップされる予定です。また、2025年末には、EMC対応モジュールを内蔵させるオプション製品もリリース予定です。これらの製品に興味をお持ちの方は、是非弊社までお気軽にお問い合わせください。




