2024 .10.11

【速報】ハイウェイテクノフェア2024出展レポート ~ インテリジェント交通システムに不可欠なMoxaのATMSソリューション

9月26日、27日の2日間、東京ビッグサイトで「ハイウェイテクノフェア2024」が開催されました。ケーメックスONEも初めて出展し、Moxaのネットワーク機器を中心に展示、技術紹介を行いましたので、その概要をレポートします【★写真1】。

 

【★写真1】ハイウェイテクノフェア:ケーメックスONEブース

 

重機、土木技術からITまでカバーするハイウェイテクノフェア

ハイウェイテクノフェアは、公益財団法人高速道路調査会が主催する展示会で、高速道路に関する新技術や新工法、資材、機材、各種支援システムを見ることができます。

 

展示全体の最新トレンドは、脱炭素(カーボンニュートラル)と自動化/省力化で、CO2削減はあらゆる産業の優先課題になっています。背景には地政学的なエネルギー危機という短期的な問題と、温暖化/異常気象による社会経済への長期的な対策があります。

 

自動化/省力化は少子高齢化時代の要請でもあり、新しい技術や市場開発の原動力にもなっており、重機や土木技術の展示の中に、AIやIT技術を取り入れたものも見られました。その一例が、地上交通の安全性や効率性、利便性を高めるITS(Intelligent Transport Systems:インテリジェント交通システム)関連の技術およびソリューションです。会場ではV2X、ドローン、自動運転に関する技術が多く展示されており、特に自動運転は、ドライバー不足や物流課題に対応するため、さまざまな実証実験に関する展示も行われていました。

 

ITSの基盤となるATMS

ケーメックスONEが正規代理店を務めるMoxaは通信機器、FAのトップベンダーのひとつで【★写真2】、ハイウェイテクノフェアでは「ATMSソリューション」として、道路や車両の運行管理に欠かせないネットワーク機器やソリューションを紹介しました。

 

【★写真2】Moxaのソリューション群はあらゆるフィールドに展開されている。

 

ATMS(Advanced Traffic Management System:高度交通管理システム)とは、道路上の各種センサ情報、コネクテッドカー情報、クラウド情報などを収集し、交通管制や事故管理を行うための統合システムです。交通規制や運行管制を最適に行うためには、道路上のリアルタイムな情報が欠かせません。そして、それらとクラウドやデータベース等の情報を連携させ、リアルタイムで可視化する管制機能、管理ソリューションも必要です。

 

弊社ブースでは、ATMSインフラの重要な構成要素となっているMoxaのソリューションを道路上のカメラや各種センサ情報、車両通信モジュールからのデータ、渋滞情報や交通規制、衛星画像や天気予報、車両通信モジュールからの情報を集約、統合するネットワーク機器(およびアプリケーション)などを、手に取れる実機と具体的なアプリケーション事例を展示しました。

 

自動料金収受システム(ETC)

ETC料金所では、各種センサのデータを集約するスマートリモートI/O ioLogik E2200シリーズが車両が通り過ぎる際に走行距離に応じた料金と走行データを入手し、また通過する車両のスナップショットを撮影するIPカメラをトリガするセンサから信号を受信するのに使用されます。また、侵入検知器などからデータを入手し、沿道キャビネットの保護にも使用されます。EDS-4008シリーズなどのマネージドイーサネットスイッチにより、交通管制センターへの大量の車両データおよびスナップショットのスムーズな伝送も可能になります。

 

【★写真3】Moxa機器によるETCシステム構成例

 

ETCゲートが多数ある場合には、必要に応じてI/Oコントローラ、産業用コンピュータ、などエッジコンピューティングを拡張する必要があります。

 

ATMSバックボーン

バックボーンネットワークは、複数のスポット(LAN)を束ねるレイヤ2/レイヤ3スイッチ(VLAN、IPルーティング)、セキュアルータによるネットワークを構成します。バックボーンネットワークは、VPNコンセントレータやゲートウェイ機器を経由して業務ネットワークに接続しています【★写真4】。

 

【★写真4】Moxa機器によるATMSバックボーンネットワークの例

 

上記写真の例では、レイヤ3高性能モジュラー型マネージドイーサネットスイッチMRX-Q4064シリーズとレイヤ2マネジメントイーサネットEDS-4012シリーズ、産業用セキュアルータEDR-G9010シリーズが大量の映像や音声、データを迅速、確実かつ安全に転送するために使用されています。

 

業務ネットワークは、各社、業務ごとのアプリケーションサーバに接続されます。管制業務は、各種の管理画面およびダッシュボードによって行われていますが、Moxaの産業用ネットワーク管理ソフトウェアMXview Oneを使用することで、ネットワークを可視化し、デバイスを一元管理することができます。

 

交通信号通信

安全な都市の交通を実現するには、交通量、速度、気象、監視カメラの映像など、リアルタイムの情報の活用が欠かせません。例えば、【★写真5】では交差点で車線ごとの信号機を光ファイバでつなぎ、管制センターに情報を送っています。光ファイバを使うのは、信号機を遅延なくリアルタイムで制御するためです。各信号機には、センサなどのデータ収集を行うIIoTコンピュータV2403 Cシリーズと信号機やIPカメラを接続するマネージドPoEスイッチEDS-4012シリーズが利用されています。EDS-4012シリーズは20ミリ秒以下のネットワークリカバリタイムを実現するTurbo Ringテクノロジーに対応しており、信頼性の高いネットワーク冗長性を提供します。

 

【★写真5】交通信号通信におけるMoxaネットワーク機器の使用例

 

トンネル制御システム

災害や事故時のインパクトが大きいトンネルでは、利用者の安全を確保するため、トンネル内の換気システム、監視カメラ群、ガス検知器や火災報知器、各種の誘導灯や警告灯にサイネージシステムなどを統合的に管理する必要があります。

 

【★写真6】トンネル制御システムの構成例

 

これらも、各種センサデバイスやI/Oチャンネルの情報をイーサネットLANとして束ね、産業用コンピュータやPLCで制御します。例えば、運行システム、カメラ監視システム、火災警報システムのデータはレイヤ2モジュラー型マネージドイーサネットスイッチMDS-G4028シリーズでまとめ、光ファイバ(Turbo Ring)で管制センターや消防局室につなげます。管制センターでは各拠点のデータをラックマウントスイッチMRX-Q4064シリーズで集約します。

 

数百メートルから時には数キロに及ぶトンネル内は、センシングすべきデータも多岐にわたります。制御すべきコンポーネント(サイネージや大型換気システム、消火設備、照明機器など)も多く、必然的に、システムのネットワーク構成も高度なものが要求されます。

 

セキュリティ機能も欠かせない要素

ATMSのようなインフラや産業用ネットワークで考えなければならない要件にセキュリティがあります。産業用ネットワーク機器では、IEC 62443というサイバーセキュリティ規格があります。この規格は組織からコンポーネントレベルまで4つに分かれており、デバイスについてはレベル4、すなわちIEC 62443-4に規定されています。

 

Moxaは、セキュアルータ、セキュアスイッチ、ワイヤレスアクセスポイント(AP)、エッジコンピュータなど、IEC 62443-4-2に対応した製品を提供しています【★写真7】。IEC 62443-4-2はイーサネットおよびIPプロトコルにおいて各種セキュリティレベル、セキュリティプロトコルを規定しています。具体的には、CIP Security(産業用共通プロトコル)に準拠したEtherNet/IP通信を行い、TLSやHMAC、X.509v3に対応したフレームやパケットの認証、機器の正当性、データの健全性を担保します。

 

【★写真7】IEC 62443-4-1/2を取得しているマネージドイーサネットスイッチEDS-G4014シリーズ

 

高速道路や鉄道は、道路や線路に沿った形で自社の回線を整備しており、インターネットなど外部に接続される部分は限られていますが、機器や施設に直接侵入され、機器の改ざんや変更がされた場合、ネットワークレベル(特にレイヤ2)での検知、対策は重要です。以前は、産業機器やフィールド上のLANはクローズドネットワークであるため、一般的なサイバーセキュリティ対策はあまり必要ではない(相対的に安全)とされていましたが、近年、インフラ設備に対してはテロへの備えが欠かせなくなっています。IEC 62443-4-2に対応したルータやスイッチをネットワークの要所に配置すれば、不正な機器の接続、不正な命令を検知し、アラートを発したりフレーム/パケットを無効にしたり、堅牢なセキュリティ対策を施すことができます【★写真8】。

 

【★写真8】ブースでは、交通インフラのサイバーセキュリティ対策のデモも行われた。

 

弊社として初出展のハイウェイテクノフェアでしたが、多くのお客様にお問い合わせをいただきました。今回ご紹介した製品以外にも、お客様のニーズに合ったソリューションを提案させていただきますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。

 

コラムで紹介されている製品はこちら

Click&Go Logic機能搭載 スマートイーサネットリモート I/O

ioLogik E2200シリーズ

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8ポート マネージドイーサネットスイッチ (オプション: 4 x 802.3bt PoEポート もしくは4 x ギガアップリンクポート)

EDS-4008シリーズ

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8 + 4Gポート (オプション: 8 x 802.3bt PoEポート) マネージドイーサネットスイッチ

EDS-4012シリーズ

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8G + 6 x 2.5GbEポートフルギガビットマネージドイーサネットスイッチ

EDS-G4014シリーズ

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48 x 2.5GbEポート および 16 x 10GbEポート レイヤ3 フル2.5ギガビット モジュラー型マネージドイーサネットスイッチ

MRX-Q4064シリーズ

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産業用 8GbE+2GbE SFP マルチポート セキュアルータ

EDR-G9010シリーズ

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次世代産業用ネットワーク管理プラットフォーム

MXview Oneシリーズ

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堅牢なファンレス ready-to-go x86 産業用IoT組込みコンピュータ

V2403Cシリーズ

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28Gポート レイヤ2 フルギガビットモジュラー型マネージドイーサネットスイッチ

MDS-G4028シリーズ

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