2022 .10.6

【技術部のお仕事】TSグループが行う徹底したクオリティコントロール活動

 

TS(テクニカルサポート)グループとは?

私たちケーメックスONEは世界中の製品を提供する技術商社として業務を推進しています。製品を販売するだけにとどまらず、社内に技術部門を持ち、強力な支援体制を構築。取り扱い製品に対する高い付加価値や徹底した品質管理を自ら提供することでみなさまの信頼にこたえる活動を展開しています。今回から数回にわたり、その一端をご紹介したいと思います。

第一回目の今回は、その中でも製品の出荷前検査と新製品の機能確認を担うTS(テクニカルサポート)グループが行っている取り組みを、グループリーダーの陳 達奇に聞きました。

ケーメックスONEのTSグループにはそれぞれ性格の異なるサプライヤーの取り扱い製品に精通したエンジニアが在籍しており、各自でサプライヤーの技術陣と綿密なコミュニケーションをとって、日々製品知識のアップデートに取り組んでいます。

 

念入りに実施される製品の出荷前検査と、新製品に対する機能確認

まず、TSグループの主要な業務のひとつに、製品の出荷前検査があります。ケーメックスONEでは、埼玉県に専用の物流センターを持っています。発注された製品は出荷管理システムに登録されており、その中で検査が必要なものに関しては、東京にある本社へ転送され、TSグループのメンバーが検査を実施します。主なチェック内容は、たとえばMoxa製品ではファームウェアの更新、電源投入時の起動確認、外観検査などを実施します。ファームウェアについては、最新バージョンであることを確認しますが、場合によっては、お客様ご指定のバージョンにすることもあります。

 

ODUやPOSITALなども、基本的には同様の出荷前検査を実施します。この場合は、主に外観検査と数量確認が中心になります。こちらは全数検査ではなく、抜き取り検査を実施しています【★写真1】。

 

【★写真1】出荷前の製品検査。Moxa製品の場合、ファームウェアの更新、電源投入時の起動確認、外観検査などを実施。

 

また、不具合品の動作検証も行います。ケーメックスONEの取り扱い製品は、製品ごとに保証期間がありますが、その期間内で稀に不具合が発生することがあります。その場合には、TSグループで不具合の詳細な確認作業を、製品到着後おおよそ1週間以内で行っています。万が一不具合を確認できた場合、サプライヤーに修理を依頼します。修理が完了したのち、調査レポートを同梱し、お客様に修理品を返却します【★写真2】。

 

【★写真2】稀に発生する不具合品の動作検証。不具合に再現性があるのか、技術部で確認したうえで、修理が必要ならMoxaに依頼。

 

ちなみに、これまでに起こったMoxa製品のトラブルとしては、お客様のファームウェアバージョンアップがスムーズにいかずに、電源が起動しなくなるといった内部要因のほか、雷などに起因するサージやノイズにより電子部品が破壊されてしまうといった外部要因もありました。こういった不具合の原因をただしく確認することで、今後のトラブルを防ぐ活動も行っています。

 

新製品を確認し、Moxaにフィードバック! 弊社仕様の独自製品も開発

もう1つ、TSグループでは、新製品の機能確認も実施しています。Moxaは年に数機種の新製品を世に送り出しています。たとえば今年、2022年には、新時代のセキュリティに対応したマネージドイーサネットスイッチ「EDS-4000シリーズ」をリリースしました。そこで、日本国内で新製品が発売される前に、まず正規販売代理店である我々が技術的な機能チェックを行います。

 

チェックの主な内容としては、各仕様の確認があげられます。Moxa製品のマネージドスイッチには「Turbo Ring」や「Turbo Chain」といった独自の機能が搭載されています。Turbo Ringは、リング状のネットワークにスイッチを構成したとき、何かスイッチに不具合があっても、20ms以内で経路を高速に切り替えて復旧できる機能です。またTurbo Chainは、リングで冗長構成が組まれたとき、あとから既存ネットワークにアンカー型で簡単にリンクを追加できる機能です。

これらの機能が問題なく使用できるかどうかなど、総合的な機能のクオリティを確認していきます。

 

さらに、刷新されたGUI画面や設定項目の確認も丁寧に行っています。新製品の事前チェックは、製品出荷の2~3ヵ月前からサンプル機を取り寄せ、TSグループ内でしっかりとチェックしています【★写真3】。

 

【★写真3】新製品の機能検証。製品出荷の2~3ヵ月前からサンプル機を取り寄せて事前チェック。GUIの設定画面なども確認する。

 

ケーメックスONEでは、製品の動作や機能を検証するために、さまざまな試験装置や測定装置も導入されています。代表的なものとしては、製品のエージングなどのために使う恒温槽があります。もともと弊社の取り扱い製品は高温、低温での動作を保証しているものが多いのですが、お客様の中には製品導入前に厳しい条件で耐環境性を確認したいというお話もありますので、その場合ご要望の条件で、温度を-40℃~+70℃に設定してチェックすることもあります【★写真4】。

 

【★写真4】さまざまな測定機器。写真左は環境恒温槽。ここに製品を入れてエージング。写真右はデジタルオシロと可変ジェネレータ。

 

そのほか信号系のチェックでは、デジタルオシロスコープや、バリアブルな電源アダプターなどの基本的な機器も用意しています。

 

TSグループがチェックした新製品は、サプライヤーと密に連絡を取り、製品の改善点などをフィードバックし、都度アップデートについて話し合っています。このようにしてケーメックスONEのエンジニアとサプライヤーの技術陣は、常に二人三脚で新製品をブラッシュアップしています。また、TSグループがお客様のご要望を反映し、サプライヤーに仕様追加などをアドバイスすることもあります。その成果として代表的なものが、設定画面をローカライズさせたケーメックスONE仕様のMoxaの無線LAN製品「-KSシリーズ」です【★写真5】。本製品は日本国内で多くの採用実績をあげており、国内市場で確固たる地位を築いています。

 

【★写真5】ケーメックスONE独自の機能が盛り込まれた「KSシリーズ」(AWK-1131Aシリーズ)。ケーメックスONEでしか手に入らないオンリーワン製品。

 

また、最後にTSグループではお客様に製品サンプルの貸出しも積極的に実施しています。これもお客様の声を技術的な面からサプライヤーに届けるための業務の一つです。サンプルの貸出期間は基本的には2週間ほどですが、延長のご要望にも柔軟に対応しています【★写真6】。

 

【★写真6】サンプル機の貸出し棚。左側がMoxaのサンプル、左側がODUのサンプル。貸出しサンプルはたくさん用意しているので、ぜひトライアルを!

 

TSグループが目指すクオリティコントロール活動

ここまでTSグループの業務について簡単にご紹介してきましたが、TSグループが常に心掛けているのはお客様の満足度を向上する丁寧な対応です。ケーメックスONEが取り扱う製品の多くは、長期にわたってお客様がご使用いただくことを前提にしています。TSグループでは製品の納入前の念入りなチェックや、ご使用中に起こるお困りごとや疑問に対して常に丁寧に対応することで、お客様に「ケーメックスONEに相談してよかった」と思っていただけるサービスを提供し続けています。