2017 .12.4
産業用コネクタ市場の動向から予測!今後求められる要素技術とは何か?(その4)
ますます需要が高まるコネクタの多極化! 自動車の電装系や半導体製造に最適なODU-MAC®
引き続き、コネクタ市場のトレンドを予想しつつ、数年後に求められる要素技術について考察したいと思います。
前回は、自動車の電動化の流れが加速するなかで、検査用コネクタなどの需要が拡がっている点について触れました。そして自動着脱システムのアプリケーションとして最適なODUのコネクタ「DOCKシリーズ」をご紹介しました。
今回は多極化という観点から、自動車開発時のシミュレータに求められるコネクタと、半導体製造用検査装置に求められるコネクタについてご説明したいと思います。
自動車の開発者であれば、お馴染みのツールだと思いますが、エンジンや車両の挙動を調べる際に、実機を模したシミュレーションが可能な開発用シミュレータを用います。これは「HILS」(Hardware-In-the-Loop-Simulation)と呼ばれるものです。
近年の自動車は、非常に電子化が進み、電子制御ユニットである「ECU」によって、さまざまな制御が管理されています。ECUは制御プログラムを周期的なサイクルで実行するものですが、ECUと制御機構をつなぐサイクルを「制御ループ」と呼んでいます。
実システムと同様に、この制御ループを実現するのが、このHILSの役割です。HILSは、ECUのテスト装置としての役割を果たしますが、ここで数百から数千極の信号を検査するために、ODUのMACコネクタ(手動タイプ)【★写真1】が威力を発揮します。
【★写真1】自動車開発時のシミュレータや、半導体製造用のテスタにおける多極化に対応するODUのMACコネクタ(手動タイプ)。
電子・電気的な検査項目もどんどん増えており、いまは信号線だけでも350極ほどの多極も珍しい状況ではありません。そのため多極への対応と、ピンの組み換えに対して柔軟性のあるODU製品が注目されるわけです。
一方、半導体製造におけるシリコンウェハの歩留まりチェック検査などでも、多極コネクタが用いられます。検査としては、ウェハ面につくられた多数のチップを切断する前に、半導体の電気特性を検査する場合と、後工程で切断したチップを実装したパッケージに対して行われる最終検査があります。
ここでもデバイスや検査装置をつなぐインタフェースとして、ODUの専用コネクタが重要な役割を果たします。半導体製造の検査システムのなかには、数万単位の極数が必要なケースもあるからです。
また信号線の多極化だけでなく、同軸についても多極化が求められることがあります。同軸を多極化する際に、ODUでは少し毛色の変わったモジュールを提供しています。ループ同軸で、10極あるいは8極といった多軸のシールドを共通にする一括シールドが行えるため、非常に便利です【★写真2】。
【★写真2】10極モジュール/50Ω一括シールド付き。着脱回数は4万回以上、周波数帯域0~1.3GHzで、一括シールドが可能。
最近では、自動車分野や半導体製造分野において、検査プロセスが非常に複雑になってきているため、ますますコネクタの高密度化と多極化が進んでいくでしょう。その際にODUのMACシリーズが、お客様のお役に立てるのではないかと思います。ぜひご検討ください。