2017 .1.9

レゴのようなコネクタ

まるでレゴブロック! 組み合わせ自在のコネクタ(その1)

今回は自動製造ラインや検査ラインに最適なコネクタシステムについてご紹介します。

ロボットや工作機械の自動ツールチェンジャ、金型交換システム、自動搬送システムなどで、何度もコネクタの着脱を繰り返すシーンでは、コネクタの機械的な寿命やピン接触面の状態が気になるのではないでしょうか?

またテレビや携帯電話の検査ラインでは、多様な試験を実施する必要があるため、そのつど対象となる検査用信号も変わってきます。そこで、目的に応じて自由にコネクタのピン配置やピン間隔を変えられると、現場の手間も工数も削減できて、大変便利になります。

実は、このようなニーズに応えてくれるのがODUの自動着脱コネクタシステム「MACシリーズ」なのです。このシリーズは、ベースとなるガイドピン付きのマウントフレームに、ユニット幅が1インチ単位(基本2.54㎜)のモジュール(以下、マウントボディ)を、レゴのように組み合わせて柔軟に構成できるコネクタシステムです。

レゴのように自在に組み合わせて柔軟に構成できるODUの自動着脱コネクタシステム「MACシリーズ」。

マウントボディの種類も多彩で、信号用、制御用、電源用、大電流、高電圧用、同軸用、流体用(空気や液体)、光ファイバ用、高速伝送用という9種類が用意されています。

たとえば、一番小さい信号用のマウントボディは、コンタクトピンを後ろ側からワンタッチで簡単に装着できる構造で、最大10極のピンを取り付けられます。1ユニットのマウントボディは、1つのマウントフレームに60個まで取り付けられるため、最大で600極まで信号を通せるようになります。

モジュール構造のため、もし故障したとしても、部分的にマウントボディを交換することができますし、ピンのみを引き抜いて新しいものに部分的に交換することも可能です。また将来的な拡張性も考慮に入れ、あらかじめダミーとなるブランクモジュールを入れておけば、いつでも増設に対応できます。

自動着脱10万回以上! 驚異的な耐久性の「スプリングワイヤー・コンタクト」とは?

ODUのコネクタには、もうひとつ特筆すべき重要な特徴があります。創業から受け継がれてきた「スプリングワイヤー・コンタクト」と呼ばれる画期的なテクノロジーです。

このスプリングワイヤー・コンタクトは、従来のスリット方式のソケットとはまったく異なる構造になっており、自動着脱で10万回以上という超長寿命を達成しています。従来のスリット・ソケットの挿抜は、500回程度が限度と言われているため、いかにスプリングワイヤー方式が驚異的な性能を有しているのか、あらためてご理解いただけるのではないでしょうか?

スリット・ソケット方式は、2枚の板バネを半円状にして、それらのスプリング力により上下方向からピンを挟み込む構造です。それに対して、ODUのスプリングワイヤー・コンタクトは、ピンの接触面に沿って円周上にスプリングワイヤーが配置されているため、全周で接点を取れます。最も小さなプラグピンの径は0.76㎜ですが、その周りに15本のスプリングワイヤーで囲む構造です(径φなら40本ものスプリングワイヤーが使われています)。


自動着脱で10万回以上という超長寿命を達成した、スプリングワイヤー・コンタクトの原理。ODUの「MACシリーズ」でも採用。円周上にスプリングワイヤーが配置され、ピン接点に対して常に均等の力で押し付けられる。

さらに詳しく見ると、各スプリングワイヤーはストレートでなく、円弧上に撓んでおり、円周方向から中心に向かって、ピン接点に対して常に均等の力で押し付けられる工夫が凝らされています。


スプリングワイヤーのスラスト方向の断面図。スプリングワイヤーはストレートでなく、円弧上に撓んでいることがわかる。

このため振動や衝撃に対しても強く、安定した接触状態を保ちます。また長期間にわたり、接触抵抗を低減できます。多数の接触ポイントがあるため、接触抵抗はμΩレベルという低い値を実現しています。接触ポイントが多数あり、大電流を分散して流せるというメリットをもたらします。

コネクタを自動着脱する場合には、エアシリンダで行います。

ODUのMACシリーズは多様なケーブルに対応しており、取付け装置に合わせてハウジングなどもカスタマイズが可能です。製造ラインやテストラインの自動化に大きく寄与できるため、ぜひ一度ご導入を検討してみてはいかがでしょうか? 次回も引き続き、同シリーズのマウントボディについてご説明します。