2017 .1.9

産業用ネットワーク“100のツボ”

【ツボその3】~高温・多湿な環境で、動作温度を担保するためのツボ

一般的に産業用製品は、非常に厳しい条件に耐えらるような耐環境性が求められます。

たとえば、高温・多湿であったり、逆に極寒の環境にさらされるケースも考えられるでしょう。また、絶えず振動していたり、衝撃が伝わるような場所や、工場内のようにノイズが激しく飛び交う場所で使われるかもしれません。

MOXAの製品群は、このような厳しい環境に対応できるように、専門のエンジニアが「バーチカルマーケット」と呼ばれる特定産業用向けに特化した製品を設計しているのです。

たとえばバーチカルマーケットには、鉄道、高速道路交通システム(ITSやETC)、プラント系(太陽光・火力・風力発電など)、船舶系の通信といった分野が想定されており、各分野で求められる専門的な規格を取得し、高品質と安全性を担保しています。

さて今回は、特に高温・多湿の環境で耐えられる製品にするために、MOXAがどのような工夫が凝らしているのか、その一端をご紹介したいと思います。MOXA製品には、通常温度として0℃(-10℃もあり)~60℃に対応するモデルと、-40℃~75℃(一部製品で85℃)の幅広い動作温度に対応できるモデル(型番末尾に-Tが付くモデル)が用意されています。

特に高温・多湿で使われる後者のモデルは、温度を考慮した綿密な設計を行っていることが大きな特徴です。基板設計の段階から、CPUやスイッチングレギュレータなど、発熱が起きやすい部品を離れた場所に分散配置するようにパターンを考慮したり、発熱状況をソフトウェアでシミュレーションし、事前に熱分布を検証することで、最適な設計を実現しているわけです。
電子デバイスについても、電解コンデンサなど、特に寿命が問題となる部品については、長寿命な仕様の部品を採用しています。さらに部品点数を少なくしたり、消費電力を抑えるために、専用ASICを採用している製品もございます。

MOXA製品のなかには、世界最小の消費電力を謳うものもあるぐらいです。
この様に部品点数を少なくすることにより、Moxaの新しいイーサネットスイッチ(EDS-G500Eシリーズ)では競合他社よりプリント基板の枚数を三分の一以下にする事に成功しております。

また、より高温での対応を実現するために、機構面での工夫も凝らしています。35mm幅のレールに取り付けられるDIN規格の製品群は、筐体の左右両面がヒートシンクの役割を果たすメタル構造になっており、内部の熱を効率よく逃がせる自然空冷方式です。さらに側面だけでなく、上下にも通風穴があり、そこからも放熱される仕組みになっています。すべての製品がファンレスになっているため、MTBF(平均故障間隔)が高く高信頼性な製品となっております。


耐環境性に優れたMOXA製品。写真はIndustrial 802.11n Access Pointの「AWK-3131A」。両側面にメタル製のヒートシンクを取り付けて放熱する構造。同時に頑強な構造にもなっている。

Moxaの製品は出荷前にすべての製品を検品しております。
中でも-40~75℃に対応する-Tモデルは、恒温槽に入れた状態で長時間の試験を行います。MOXAでは、このような厳しいテストにクリアした製品だけを出荷しているため、優れた品質が保たれているのです。

産業用製品では、このような目に見えにく部分もポイントになるため、次回も耐振動・耐衝撃性、耐ノイズ性などの創意工夫について
フォーカスしていきたいと思います。