2018 .1.10

【事例編】POSITALのセンサやエンコーダ製品のケーススタディを一挙に公開!(その1)

えっ、こんなところにも使われているの!? 意外な2軸傾斜計の利用法

さて今回より数回にわたり、POSITAL社の製品のケーススタディをご紹介していきたいと思います。POSITAL社の製品は幅広い分野で利用されています。そこで、ここ数年で100以上に適用された利用シーンを「組込み機械」「建機」「搬送機械」「ロボット」「医療機器」「インフラ(火力、風力、太陽発電など)」「軍用機器」というカテゴリーに分けてみました。

ケーススタディ1回目は、工業用傾斜計(センサ)に関する応用例です。POSITAL社で扱う傾斜計は、MEMSデバイスを採用し、静電容量の変化をとらえて傾斜を測定する製品や、外乱に強い「ダイナミックロード補償機能付きの傾斜センサ」などが用意されています【★写真1】。

【★写真1】Posital社が提供する工業用傾斜計(センサ)。MEMSデバイスを採用し、静電容量の変化をとらえて傾斜を測定するものが最近の主流だ。

1軸および2軸の傾斜計「ACS」(ACCELENS)のケーススタディですが、医療現場でよく使われているのが、MRIやCTスキャナ、マンモグラフィなどの装置の傾斜角を測定する場合です。これらは、従来までポテンショメータやロータリーエンコーダで使われていた機能の代替として導入されたものです。

たとえば、米国の某医療メーカーでは、MRIにACSを採用しましたが、コンパクトなサイズと磁気シールド性が導入の決め手になったそうです。また、CTスキャナで有名な米国の大手医療機器メーカーもACSを導入しました。その際は、7つの部品が1つのACSで置き換えられ、2つの製造工程が省略できたそうです。結果的に人件費の削減にも寄与しました。採用の決め手は、ACS傾斜計でSSIインターフェースをチョイスできたことです。

同社では、マンモグラフィ装置も製造しており、同様にSSIインターフェース対応が求められていたため、1軸のACS傾斜計が使われました。こちらはマンモステージのチルト角を計測するために使用されました。

もうひとつ、世界的に有名な手術ロボットを提供する某社でも使われています。このメーカーは現在、日本で最も導入台数が多いため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。マスタースレイブタイプの内視鏡下手術用ロボットで、こちらにも2軸のACS傾斜計が採用されています。

そのほかロボットや建機にもACS傾斜計が数多く使われています。たとえば、スペインでは爆発物の危険を取り除くロボットにTILTIX傾斜計が用いられています。こちらはブームの角度を正確に計測するために用いられました。インターフェースはCANopenタイプが選ばれました。

建機でも多数の実績があります。日本の大手メーカーは、クレーン式クローラのクレーン角度を計測するためにACSを採用しました。180°×2のワイドな計測レンジと、過酷な環境でも使用できるIP69Kの耐環境性、耐熱性など、ヘビーデューティ仕様品を選定しました。ドイツでも同様の理由でクレーン車のブーム角度の測定に用いられています。

米国の某メーカーは、トレイラにコンテナを運ぶ際の角度測定に傾斜計を採用しました。ACS傾斜計を選定した決め手は、保護クラスの高さと、RS-232Cインターフェース対応品があったことです。RS-232C経由でPLCへ接続したかったからでした。

特殊車両として面白いのは、鉄道レールを磨く車両への適用です。この車両はスイスのメーカーが開発したものですが、グランディングユニットをトレイルに合わせるために2軸の傾斜計が使用されています。やはりヘビーデューティ仕様のM12コネクタタイプが求められ、特にグランディングの際に発生する振動に耐えられる製品が選ばれました。

最後にインフラへの適用です。こちらは太陽光発電など大規模なものになります。太陽光発電では、米国とインドのにおいて、太陽光を効率的に捕捉するトラッキング装置にASCが組み込まれています。太陽の動きに合わせながら、集光装置が追従していくために用いられています。ここではACS傾斜計(360°)のM12コネクタタイプが採用されました。屋外の厳しい環境に耐えられるように、IP69K仕様で、ケーブル・アクセサリー類もカスタム品が選ばれました。インターフェースはRS-232Cです。

同様の理由で、中国の太陽光発電システムの集光装置にも、同社のACSヘビーデューティ仕様が使われています。

このように、傾斜計と一口に言っても、非常に幅広い分野で使われていることがわかります。特にPOSITALの傾斜計の強みは、堅牢で耐環境性に優れ、過酷な環境に使えること、さらに出力インターフェースが豊富であることでしょう。

次回から、いよいよPOSITAL社の真打ともいえるエンコーダに関するケーススタディをご紹介していきます。こちらは傾斜計よりも、さらに幅広い分野の用途に使われています。それでは次回をお楽しみに。