2025 .10.22
コストを抑え、安全性を確保!POSITALのセーフティエンコーダ
自動化が進む物流倉庫や製造ラインでは、産業ロボットの新安全基準の確保が新たな問題として浮上しています。このコラムでは、コストを抑えつつこの問題に対応するPOSITALのセーフティエンコーダをご紹介します。
産業ロボットのSIL2対応という課題
人手不足やコストダウンのため、物流業界ではAGV/AMRの普及が進んでいます。また、工場内で人が出入りするエリアで稼働する協働ロボットの市場も広がっており、中国などでは人型の協働ロボットさえ稼働し始めています。2025年2月、安全規格ISO 10218が改定され、これらの自律走行車両や産業ロボットが対象となったことで安全性確保への対応が課題となっています。
2027年から全面適用となると考えられているISO 10218の改定では、産業ロボットの安全性についてSIL2(Safety Integrity Level2)レベルの機能失敗率(0.001~0.01)が求められるようになり、機能安全対応部品の使用の義務化も拡大しています。ロボットメーカーや導入する工場では、導入するロボットの技術的な信頼性に加え、コストが懸念事項となっています。最新の安全基準を満たすためには、既存製品やシステムの部品を入れ替えるための追加投資が必要となりますが、予算の都合上、高価なものは導入のハードルが高いといったご相談が弊社に寄せられています。そこでご紹介したいのがSIL2認証を取得したPOSITALのバッテリレスアブソリュートエンコーダDMCシリーズです【★写真1】。

【★写真1】セーフティエンコーダ バッテリレスアブソリュートエンコーダDMCシリーズ
SIL2認証取得のエンコーダ
AGV/AMRなどの自走するロボットや、ロボットアームの制御に欠かせないセンサのひとつがエンコーダです。エンコーダは、磁気や光学センサを使い、移動距離、速度などを計測するもので、正確な計測は安全性確保に欠かせません。SIL2を取得しているDMCシリーズは、元々ドアモーションの検知用に作られたもので、市販のエンコーダと比較すると分解能や回転数検出などの性能が限られており、それほど精度が必要なく、測定範囲の少ないアプリケーションに適しています。性能が限定されている分一般的な高性能なSIL2取得製品にくらべて、価格がぐっと抑えられているのも特徴です。実際に、 ISO 10218の改定により、機能安全対応部品が必要なかった場所にセーフティエンコーダが必要になったため、エンコーダを後付けすることでコストを抑えたいお客様に興味を持っていただき、好評をいただいています。
SIL2認証取品の製品ラインナップ
DMCシリーズだけでなく、リニアエンコーダのLINARIXドローワイヤセンサもSIL2取得製品を前提とした、冗長出力が可能なモデルを開発中です。ドローワイヤセンサもバッテリレスエンコーダを採用しています。産業ロボットで通常のアブソリュートエンコーダを利用すると、センサに常時給電するためのバッテリが必要となり、コストアップや発熱の問題が生じます。とくに接続部分の取り回しの自由度が制限され、メンテナンスコストにも影響が出ます。バッテリレスのセンサであれば、バックアップ電源の搭載を考える必要はなく、コストダウンにもつながり、ロボットのような稼働部品が多い機構にも使いやすい製品となっています。こちらも現行モデルの計測範囲が15mのところ、SIL2対応品は8mとなりますが、従来品より低価格でご提供できる予定です。また、今後2年程度の時間をかけて傾斜センサとロータリエンコーダ(最大ST分解能:17ビット)、キットエンコーダ(最大ST分解能:18ビット)でもSIL2認証を取得する予定ですので、高分解能や高速回転が必要な場合はこちらをご検討ください【★写真2】。

【★写真2】開発中のSIL2認証取得ロータリエンコーダ
ISO 10218の改定により、既存製品や既存ラインを改修しなければならないものの、コスト面で課題を抱えられている場合は、是非POSITALのエンコーダをご検討ください。精度要件によっては、高価なセンサを導入せずとも、現状の性能を満たしながら、安全性の要件も満たせる可能性があります。
