2018 .6.4

コアな産業用PC探検隊が行く!よいモノだけを世界から(4)

非接触なのに動きや心拍数を検知!高性能なのにお手頃価格なコミュニケーションロボット誕生。

こんにちは。IPC担当の菊池です。前回から少し間が空いてしまいましたが、今回から2回にわたり、IEIのご担当者をゲストに迎え、同社の方向性や、ユニークなアイテムについて、ご紹介していきたいと思います。ご登場いただくのは、IEI Integration の日本担当 Henry Laiさんです【★写真1】。

【★写真1】IEI Integration の Henry Laiさん(左)と菊池(右)のツーショット写真です。ビデオコンパニオンロボット「AfoBot」で撮影してみました!

ーーそれでは、Laiさん。よろしくお願いします。最近、IEIさんでは大変ユニークなビデオコンパニオンロボット「AfoBot」【★写真2】を発売されました。まずはこの製品について概要を教えてください。

【★写真2】AfoBotの外観。8インチのパネルとスピーカー、カメラを内蔵。本体の台座は360°左右に回転。カメラも上下に100°可動する。

Laiさん:今回ご紹介する製品は、IEIとしても大変チャレンジングなものです。簡単にいうとAIスピーカーのようなイメージですが、それ以外にも多彩な用途に利用できます。大きな特徴は、ロボットの本体に8インチTFT LCDと、5メガピクセルのカメラ(F2.0)を搭載していることでしょう。本体のOSはAndroid 6.0で、クライアント側のアプリである「AfoTalk」は、Android/iOSに対応しています【★写真3】。

【★写真3】クライアント側のアプリ「AfoTalk」(イメージ画面)。スマートフォンからボタンひとつで家の様子を見たり、相手とビデオチャットが可能。

AfoTalkのリモートコントロール機能を利用して、スマホからボタンひとつで自宅のAfoBotと接続すると、カメラから映像を見ることができます。AfoBot本体には、モータが内蔵されています。台座が360°左右に回転し、カメラも100°上下に動かせます。

また「フェイストラッキング機能」により、自動的に相手のほうにカメラが向き、複数の人々(最大4パーティ)とビデオチャットが行えます。このほか専用アダプタを装着すれば、映像出力をテレビ画面などに飛ばせるようになります。

本体にバッテリを搭載し、駆動時間は2時間ほど。外形サイズも271×213×136mmとコンパクトなので、持ち歩いて使うこともできます。また。8-core Cortex A53 CPUと、32MBのメモリ、microSDカードスロットを搭載しており、録画したビデオを保存したり、WiFi(IEEE 802.11 a/b/g/n )経由で、クラウドにデータをアップすることも可能です。

主な用途ですが、企業向けの簡易テレビ会議システムや、個人の家庭でのビデオチャット、監視用途などにも使えるでしょう。コストも廉価なので、お手軽に導入できますよ。

ーーIEIさんは、これまで産業用コンピュータを中心に開発・製造・販売を行ってきましたよね。このAfoBotは、法人だけでなく、コンシューマ向けにも使えるのですか?

Laiさん:ええ、そうです。我々の強みは、幅広い製品ラインナップをそろえていることですが、産業用だけでなく、コンシューマ向けにも使える新製品ということで発売したものです。IEIは、昨年からコンシューマ向けに、ビデオキャプチャ製品などをネットで販売するようになりました。
もちろんAfoBotは、ビデオ会議やネットワーク監視カメラにも使えますが、最近にわかに流行り始めたコンシューマ向けのAIスピーカーとしてもご利用いただけます。

【動画】IEIとQNAPが満を持して世に送るAfoBot。法人向けのビデオ会議システムだけでなく、コンシューマ向けのAIスピーカーやコミュニケーションツールとして活用できる。

AIスピーカーにもなるAfoBot、日本語への対応も秋ごろスタート!

ーーでは、AIスピーカーとしての使い方について、詳しく教えてください。

Laiさん:音声コマンドと音声認識の機能を用意しています。現在、これらは英語と中国語に対応しています。ただし今秋ぐらいには、日本語にも対応できるように準備しているところです。たとえば「お母さんに電話して!」「CNNのニュースを見せて」「ニューヨークの天気は?」「午前9時に起こして」「写真を撮って!」といった音声コマンドを理解して実行できるようになります。

以前、ご紹介したことがあると思いますが、IEIには子会社のQNAPというNASメーカーがあります。実は、そのQNAPでAfoBotのソフトウェアを開発し、我々IEIでハードウェアを設計しています。そのため、ちょっとしたカスタマイズにも対応できます。本体スピーカーの下に「QNAP×IEI」とロゴが印字されていますから、おわかりいただけるかと思います。つまり我々とQNAPがタッグを組んで完成した初めての製品なのです。

ーーなるほど。何か面白いAfoBotの使い方や事例はありますか?

Laiさん:はい。最近アナウンスした面白い事例ですが、AfoBotを活用した「赤ちゃんの見守りシステム」【★写真4】があります。これは単なる監視カメラではなく、赤ちゃんの動きや呼吸、心拍数、体温などを非接触(非侵襲)で測定し、それらのデータをAfoBotで取集したのち、bluetoothで送ることができます。いわばIoTのエッジデバイスの代わりになるものです。いろいろなものをIoTデバイスにしようという戦略のひとつと考えてください。

【★写真4】AfoBotを活用した「赤ちゃん見守りシステム」。赤ちゃんの体にセンサが直接付かないので安心。さまざななIoTデータを無線で飛ばす。

赤ちゃんの動きは、光ファイバを織り込んだシーツで検出します。赤ちゃんが動くと、光ファイバに圧力がかかり、データの転送率が変化するため、これを測定することで、さまざまな様子がわかります。体温は赤外線によって非接触で計測します。オムツを替えるタイミングも、下半身の熱量でわかります。AfoBotが何か大きな変化や、ある一定のパターンを検出すると、お母さんにアラートメールを投げることもできます。

ーーこういう新しいご提案をすることで、さらに多くのメーカーさんと協力できる可能性が生まれそうですね!

Laiさん:そうです。いまの事例は光ファイバシーツの企業とのコラボになりますが、いろいろなアプリケーションにも展開できると思います。AfoBot側でモータコントロールのAPIなどもご用意していますので、開発者側でAPIを使ったアプリをつくれます。

ーーAfoBotには、ディスプレイが付いているので、この画面を利用して、お客さんを誘導するような移動ロボットや監視ロボットなども作れそうですね。いろいろとアイデアが広がります。今後も面白いアプリを期待したいと思います。本日はありがとうございました。