2018 .4.2
【事例編】POSITALのセンサやエンコーダ製品のケーススタディを一挙に公開!(その2)
ファクトリーオートメーション(FA)分野に欠かせないエンコーダ。その主な用途とは?
少し時間が空いてしまいましたが、前回はPOSITAL製品のケーススタディとして、工業用傾斜計(センサ)に関して触れました。今回から、いよいよPOSITAL社の真打ともいえるエンコーダの応用例について話をしたいと思います。こちらは傾斜計よりも、さらに幅広い分野の用途に使われています。
POSITAL社の磁気式エンコーダには、「IXARCアブソリュート型ロータリーエンコーダ」と「IXARCインクリメンタル型ロータリーエンコーダ」【★写真1】【★写真2】の2種類があることは、すでに解説したとおりです。このほかにも、特殊なものとしてエンコーダを利用した「LINARIXドローワイヤセンサ」(LINARIX リニアセンサ)【★写真3】などもあります。
【★写真1】POSITAL社のIXARCインクリメンタル型ロータリーエンコーダ。
【★写真2】POSITAL社のIXARCアブソリュート型ロータリーエンコーダ。
【★写真3】POSITAL社のLINARIXドローワイヤ(リニア型)センサ。
簡単に復習しますと、アブソリュート型は、電源が一時的に落ちても、絶対位置の情報(最大16ビット)を失わず、正確な測定が行えます。さらに一回転内の測定が可能な単回転エンコーダと、多回転の測定が可能なマルチターンエンコーダがあります。
一方、インクリメンタル型のほうは、任意の始点から任意の終点までの相対的移動量を計測できるエンコーダです。POSITAL社のエンコーダは高分解能(最大16384ppr)です。
また、LINARIXドローワイヤセンサは、ワイヤーを引き出して、リニアなスケールで長さを計測できるものです。最高分解能21μmで、広範な測定範囲(1mから15mまで)をカバーする製品をそろえています。
さて、エンコーダの用途ですが、非常に多岐にわたります。今回はファクトリーオートメーション(FA)分野に的を絞って、その応用例について見ていきましょう。
産業用ロボット用途として
ここにきて、再びロボットブームが訪れていますが、エンコーダはロボットには絶対に欠かせない構成要素のひとつです。どんなロボットも位置決めができなければ、正確に動くことはできません。産業用ロボットの世界では、溶接・塗装・組立など、高精度な作業が要求されます。IXARCエンコーダは小型で、ロボットの関節に取り付けることが容易です。絶対位置、あるいは相対位置での動きを正確に測定し、制御することが可能です。【★写真4】
【★写真4】産業用ロボット用途では、小型で取り付けが容易なエンコーダが求められる。IXARCアブソリュート型、およびインクリメンタル型ロータリーエンコーダが適している。
パッケージング用途として
工場での製品の包装は重要です。パッケージング工程の機器にもエンコーダが欠かせません。フォーム記入から始まり、シール貼り付け、パレタイジング、ピック&プレース、梱包用の箱折り、段ボールの折り畳みまで、高精度な制御が必要とされます。IXARCエンコーダは、正確かつ高速な位置フィードバックが可能で、最大作動速度に対する信頼性もあります。またフィールドバスやイーサネットなどのインターフェースに対応するタイプも用意され、配線を簡素化して全体システムに組み込めるという特徴もあります。【★写真5】
【★写真5】パッケージング用途では、正確かつ高速な位置フィードバックや、最大作動速度に信頼性が重要。IXARCアブソリュート型、およびインクリメンタル型ロータリーエンコーダが使われる。
パッケージング用途として
繊維・プラスチック製造では、製品によって原材料の量を変更したり、細かく調整する必要があります。そのために、材料を送るロールやノズルの位置などを変更するのですが、ここでIXARCエンコーダとLINARIXリニアセンサが活躍します。高温多湿の場所でも信頼性の高いポジショニングを維持します。たとえばIXARCアブソリュート型では、-40~+85℃の広範囲な周囲温度とIP69Kまでの保護構造に対応しています。POSITAL社のエンコーダを使えば、製造ラインのダウンタイムを減らし、生産効率を高められます。【★写真6】
【★写真6】繊維・プラスチック用途では、高温多湿で信頼性の高いポジショニングが求められる。IXARCアブソリュート型、およびインクリメンタル型ロータリーエンコーダのほか、LINARIXドローワイヤセンサが適する。
食品および飲料用途として
食品・飲料業では、適切にボトルへ注入したり、正確なラベリング表示など、しっかりと法令を遵守しなければなりません。また衛生的に食品を包装することも求められます。IXARCエンコーダとLINARIXリニアセンサは、正確なプロセス監視を実施するだけでなく、ステンレス製の筐体を使用したタイプを用意しています。耐性に優れた製品を提供することで、食品・飲料産業でも安心して使用することができます。【★写真7】
【★写真7】食品および飲料用途では筐体のステンレス化、耐性、正確なプロセス監視が必要。IXARCアブソリュート型、およびインクリメンタル型ロータリーエンコーダ、LINARIXドローワイヤセンサが使われる。。
POSITAL社の磁気式エンコーダには、まだまだ多くの用途があります。今後も引き続き、エンコーダの事例をご紹介する予定です。