2017 .7.31
【ツボその8】散在するPLCを代替し、I/Oデバイスの一元管理とコスト低減を実現
IIoTやインダストリー4.0時代に求められるリモートI/Oとは?
さて、今回から新しいカテゴリーに入ることにしましょう。MOXAはIIoTやインダストリー4.0時代に最適な製品を数多く発売しています。まずはシステム末端のフィールドデバイスをイーサネット化できる製品からご紹介していきたいと思います。
最近、特に需要が高まりつつあるのがリモートI/Oです。これを利用することで、I/Oデバイスの一元管理とコスト低減を実現することができます。
MOXAのリモートI/Oには、プロセッサを内蔵したプログラマブルI/Oと、上位層に高精度なデータを上げるエントリータイプのシンプルなリモートI/Oが用意されています。
プログラマブルI/Oには、C言語及びラダー言語に対応したプログラマブルコントローラとスマートリモートI/Oの2タイプがあります。前者の代表的な製品である「ioPAC 8000シリーズ」【★写真1】と「ioPAC 5500シリーズ」【★写真2】を見ていきましょう。
【★写真1】スマートリモートI/Oタイプの「ioPAC 8000シリーズ」
【★写真2】プログラマブルコントローラ(PLC)タイプの「ioPAC 5500シリーズ」
これらは、いずれもLinux OSを採用しており、C/C++言語やPLCのラダー言語により、任意のアプリケーションをつくれる点が大きな特徴です。インターフェースはデジタル信号(DI/DO)、アナログ信号(AI/AO)、熱電対や測温抵抗体などの信号に対応しています。
ioPAC 8000シリーズは、各種の入力信号がトリガーとなり、プログラムをキックします。たとえば、DIがオンになったら、アラートを流したり、メールを送ったり、設定値を書き換えて上位層にデータを渡すなど、さまざまなシーケンス処理が行えるのです。
また、強力なプロセッサと多様なインタフェースを備え、内蔵イーサネットスイッチ・ポート×2を使い、カスケード接続でデイジーチェーン構造のラインバストポロジーを容易に構築できる点もポイントです。
次の「ioPAC 5500シリーズ」は、一般向けFA環境用のプログラマブルコントローラ製品です。これらの製品群は、過酷な環境でも使用できる堅牢性を有したコンパクトなデザインで、耐環境性に優れている点も見逃せません。
たとえば、以前ご紹介した無線LANアクセスポイント/クライアントと同様に、鉄道グレードのESD(EN 50121-4)を備え、使用温度も-40~75℃(-30~75℃ HSPAのモデル)に対応します。UL/cUL規格、Class1 Division 2の認証があります。
もちろん、ioPAC 8000シリーズのほうも「EN 50121-3-2」「EN 50121-4」「EN 50155」といった主要セクションに適合しています。そのため、これらの製品はPLCの代替製品として活用することができるのです。
一方、スマートリモートI/Oとして「ioLogik 2500シリーズ」、「ioLogik E2000シリーズ」も用意しています。ラダー言語を知らなくても「if~Then eles~」によって、直感的にPC上からロジックを組めるMOXA独自の「Click & go」を採用している点が大きな特徴でしょう【★写真3】。
【★写真3】MOXA独自のテクノロジーの「Click & Go」を使えば、簡単にif~then else~でロジックを組める。
これにより、メール、TCP/UDP、SMNPトラップなどを使って、リアルタイムスタンプ付きのアラームメッセージを、現場のオペレータが手軽に送信できるようになります。【★写真4】。
【★写真4】12点デジタル入力、8点デジタル出力搭載アクティブイーサネットI/O「ioLogik E2210」。Click & Goテクノロジーに対応。
上位層に高精度なデータを上げるシンプルなリモートI/Oのエントリーモデルのほうは、イーサネットI/O、RS-485 I/O、モジュラーI/Oタイプの3シリーズがあります。
イーサネットリモートI/Oの「ioLogik E1200シリーズ」【★写真5】は、イーサネットポート×2を搭載しており、複数台のカスケード接続が可能です。従来のように、スイッチングハブを介するなどの手間を省き、同時に作業コストとケーブル費用を大幅に削減できます。対応する上位プロトコルは、Modbus/TCP、Ethernet/IP、SNMPなどですが、このほかにもOPC ServerやOPC UAサポートしている点も注目に値します。
【★写真5】リモートイーサネットI/Oの「ioLogik E1200シリーズ」。写真は2ポートイーサネットスイッチ、および8点AI搭載の「ioLogik E1240」。
またモジュラータイプ【★写真6】は、スライス型で、親機に対してスライドさせながら、I/Oモジュールを自由に拡張できる構造になっています。I/Oモジュールは最大16のI/Oを搭載し、このモジュールを32台ぶん(最大16×32=512個のI/O)まで拡張できます。
【★写真6】リモートI/Oのモジュラータイプ「NA-4020」(RS-485タイプ)。スライス型で親機に対してスライドさせ、32個までI/Oモジュール(最大512個のI/O)を拡張できる。
これまでシステムごとに散在し、分断されていたPLCを、前述のようなリモートI/Oと代替することによって、カスケード接続でつないで一元的に管理すれば、運用の負荷も軽減できます。またMOXAのリモートI/Oは、PLCよりもかなり価格が安いため、全体のコスト削減にもつながるでしょう。