2017 .3.6
【ツボその5】鉄道・バス向けのネットワークシステムを構築
WLANの自動ネットワーク構成や、高速ローミングが可能な鉄道・バス用専用装置
前回の後半では、鉄道・バス関係の厳しい品質規格にクリアしたMOXA製品について簡単に触れました。今回も鉄道・バス関係のイーサネット関連製品について、もう少し深堀りしたいと思います。
最近の鉄道・バスでは、運航情報を示すデジタルサイネージやPIS(Passenger Information System)、監視カメラなどが使われるようになってきました。そのためにネットワークで情報を送る必要があります。
しかし既存車両では、通信ケーブルを通せるようなアクセスルートは用意されていません。そこでケーブルを使わずに、ワイヤレスで通信を行う方法が採用されています。MOXAでは、車両間や地上インフラと通信するための専用ワイヤレスLAN製品のラインアップをご用意しています。
まず車両間の通信を行うための「Carriage to Carriage」のWLAN製品として、「AWK-5232-M12-RCC シリーズ」や「AWK-3131-M12-RCC シリーズ」があります。いずれもIEEE 802.11a/b/g/nに準拠したAP/ブリッジ/クライアントです。
前回も触れたとおり、MOXAの鉄道・バス用WLAN(Wireless LAN)製品は、耐振動・耐衝撃性などに優れていますが、それだけでなく車両通信に便利な独自機能も備えています。
たとえば、電車の車両を組み替えて使う場合には、親機のアクセスポイント(AP)と子機のクライアントの組み合わせも変わってしまいます。通信の関係が「親機-親機」「子機-子機」という接続になる場合は、WLANの設定を一から変更しなければなりません。
そこでMOXA製品では「ACC機能」(Auto Carriage Connection)と呼ばれる便利な機能を搭載しています。これは車両組み替え時に親機か子機かを判別し、自動でWLANを再構成してくれる機能です。
一方、車両と地上インフラ間の通信を行うための「Train-to-Ground」のWLAN製品ですが、こちらは車内カメラの映像を地上側でリアルタイムに監視したり、車両信号から列車の運行と制御を行うための「CBTC」(Communications-Based Train Control)のニーズに応えるものです。
そこでMOXA製品として、IEEE 802.11a/b/g で通信が可能なIP68ワイヤレスユニット「TAP-6226 Series」や、AP/クライアント「AWK-3121-RTG Series」をご用意しています。
ここで車上側APは子機になり、地上側のAPは親機になります。双方で通信を行う場合には、電車が高速で移動するため、ローミングも高速に行う必要があります。通常のカメラ映像では、だいたい10~30fpsのデータを送ることになりますので、高速で電車が移動する場合には、映像が途切れてしまうこともあります。
そこで登場するのが、MOXA製品のワイヤレスアクセスコントローラ「WAC-1001」や「WAC-2004」です。一般的なモバイルWLANでは、ローミング速度が1秒から数秒程度かかるといわれています。しかしMOXA製品のWACを使えば、最短50msという高速で切り替えが行え、映像も途切れずに快適に利用できるのです。
さて、MOXAでは車両内で使えるIPカメラもご用意しています。これらも前回ご紹介したとおり、欧州の鉄道規格である「EN50155」に準拠しており、耐環境性に優れています。
客室用カメラとして主流になっているオンボードIPカメラ「VPort P06-1MP-M12」や、非常電話のような使い方が可能なインターフォン付きIPカメラ「VPort P06HC-1MP-M12 Series」、運転席の前方・後方から外部を見るための専用IPカメラ「VPort P16-1MP-M12 Series」などがあります。
ほかにも鉄道用イーサネット製品として、リモートI/O「ioPAC 8000 Series」や、組込みPC「V2000A Series」、シリアルデバイスサーバ「NPort 5000AI-M12 Series」などのラインナップをそろえています。詳細に関しては弊社営業までご相談ください。