2021 .12.22

CNC製造の稼働時間を最大化

 

CNC(コンピュータ数値制御)機械は、数え切れないほど多くの製造アプリケーションにおいて重要な役割を担っています。これらの機械は、金属やプラスチックなど様々な原料を加工し、決められた形に形成します。高度な技術によって精度を高め、業務効率を向上させることで、CNCマシンはより強力な装置となりました。CNCマシンが発展し続けるには、システムダウンタイムを回避するため、より複雑なコンポーネントやより速い作業速度、機械のオペレーションステータスへの配慮が必要となります。

 

工場内のCNCマシンのアイドリングやオフライン状態、メンテナンスのための停止は利益の損失に繋がります。つまり、CNCマシンの効率性は、CNC自動化工場の最終収益に大きな影響を与えるのです。生産性を改善するため、工場マネージャは、自社のCNCマシンのステータスに関するリアルタイムの情報が必要となります。通常、次に挙げる3つの運用上の目標によって、MDC (マシンデータ収集)戦略が決定します。

1. CNCマシンのDNC(分散数値制御)通信でレシピの変更をリモート管理可能に
2. ベーシックMDCでOEE(総合設備効率)を測定
3. アドバンスMDCで予知保全を実行

 

 

DNC通信

多くの工場で、未だにレガシーシリアルCNCマシンが使用されています。最新の生産工程に対応するには、CAD/CAMソフトウェアからGコードを作成し、ローカル制御装置(フロントエンドPC)に手動でアップロードする必要があります。この作業には多くの時間と労力がかかります。DNCソフトウェアは、しばしば効率性向上のために使用されます。ネットワークを経由してレシピ(Gコード)を複数のCNCに送信することで、生産性も向上させることができます。

 

マシンデータ収集

例えば、機械加工装置は多額の資本支出を必要としますが、収益を上げることができるのは、部品を加工している間のみです。機械を監視することで、非生産時間を確認し、機械使用時間を改善し、生産性を向上させることができます。従来、マシンデータは1日の終わりに手動で収集されていましたが、ミスのためデータが入手できないこともよくありました。工場のOEEを改善するため、MDCソフトウェアは機械からの必要な情報を正確かつよりタイムリーに入手します。CNCマシンにシリアルもしくはイーサネットネットワークインターフェースが使用されている場合は、DNCソフトウェアで対応可能です。

 

目的が作業効率の向上もしくは機械のOEE改善のどちらであっても、DNC/MDCソフトウェアとCNCマシン間の円滑な通信を確保することが重要です。考慮すべき点をいくつかご紹介します。

 

様々な接続性要件

工場内で使用されていないCNCマシンの多くはレガシー設備で、CNCマシンとDNC/MDCソフトウェア間の接続性を有効にするために複数の通信インターフェースを必要とします。Gコードをイーサネットベースのシステムに組込まれたDNCソフトウェア経由でシリアルCNCマシンにアップデートするには、現場とコントロールセンター間にシリアル to インターネットソリューションが必要となります。さらに、シリアル to ワイヤレスソリューションを使用したCNCマシンのリモート制御の数が増えることで、配線保守や導入コストを削減することができます。機械ステータスを監視するには、デジタルI/Oソリューションを必要とするスタックライトタワーやサイクル起動停止ボタンのような、レガシー設備から情報を収集する必要があります。

 

通信性能問題

DNC to CNC通信におけるデータ損失は許されません。多くの古いシリアルCNCマシンにはUARTチップで管理される非常に少ないキャッシュメモリしか備えられておらず、極小のFIFOバッファーでは待ち時間が多くなってしまいます。これらの機械には、複数の段階で単一もしくは複合コンポーネント用にCAM命令をアップロードしてください。少ないFIFOフィードと低速シリアル接続が原因の制限は、データ伝送にかかる時間を大幅に増幅させます。これは、DNCが常時GコードファイルをCNCステーションにアップロードしている大規模工場にとって、重大な問題です。CNCがデータ伝送を完了するまでの間、DNCが一時的に失速する恐れがあるため、低速CNCがボトルネックとなる可能性があります。データ伝送の信頼性は、工場現場において最重要事項です。最小限の伝送遅延でGコードファイルを予定時刻にアップロードできるシリアル to イーサネット通信を実現可能な、シリアルとイーサネット両方のデータ伝送を管理する、フロー制御メカニズムを備えた接続性ソリューションが必要となります。

 

サイバーセキュリティ対策

産業用アプリケーションにおけるサイバーセキュリティは、今までになく関心を集めています。通常、CNCアプリケーションにはクローズドネットワーク環境が使用されていますが、インターネットに接続する製造ネットワークの数はますます増加し、新しいサイバーセキュリティ脅威に直面することになります。結果として、故意もしくは故意ではないネットワークシステムへの侵入を防ぐため、アクセス権限を制限するパスワード保護やアカウント管理など、一定レベルの保護が求められます。このような保護により、業務の中断を回避することができます。航空宇宙用および医療用コンポーネントなどの製造では、プロダクションデータは機密情報とされています。このような場合、データ通信に使用されるエッジデバイスは安全なノードとして管理されなければなりません。異なるユーザーレベルのようにアカウント管理を設定したり、データの暗号化など、極秘データを保護する対策が重要です。

 

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