2018 .10.18
コアな産業用PC探検隊が行く!よいモノだけを世界から(6)
過酷な屋外環境でも安心して使える! 本体がIP67に準拠した完全防水のIPC
こんにちは! コアな産業用PC探検隊、隊長の菊池です。前回までは、台湾のIEI Integrationの製品について触れてきましたが、今回から新たに3回にわたり、別メーカーのIPCについてご紹介していきます。第1回目のコラムで少しだけご説明したので覚えていらっしゃる方も多いかもしれませんが、そのメーカーとは台湾のAXIOMTEK(アクショムテック)社です。
同社(http://www.axiomtek.co.jp/)は、IEIと同様に、高性能と高信頼性を兼備したIPCの設計・製造において、世界をリードするカンパニーの1社に挙げられています。ただしIEIと比べると、斬新さよりも非常に堅実で手堅い製品を市場に投入しているメーカーという印象があります。特に□30cmぐらいから始まる小型IPCのラインナップが充実しており、低発熱なモデルでも優秀な製品が多いという評判があります。
また同社は、ボードの部品の実装から組み立てまで、すべての工程を台湾本土で完結しており、部品のトレーサビリティ面で他メーカーよりも秀でていると言えるでしょう。さて今回は、AXIOMTEKのなかでも、特にユニークなIPCである「eBOX800」【★写真1】【★写真2】について見ていきたいと思います。
【★写真1】eBOX800のフロントビュー。本体はIP67準拠で完全防水を謳っている。
【★写真2】eBOX800のリアビュー。M12型のコネクタを採用し、防水対策もバッチリ。
まず基本的なスペックですが、CPUはIntel Atom E3845(1.91GHz)で、メモリは最大8GBまで増設できます。I/Oまわりとして、RS-232/422/485×2、VGA×1、GbE×2、USB2.0×2、PCI Express Mini Card×2などを装備。OSはWin 10 IoT、WE8S、WES7、Linuxに対応。入力電源はDC9~36Vと広く、盤内の電源から引っ張って利用できます。この辺りは、オーソドックスなのですが、eBOX800には大きな特徴があります。
それは、eBOX800がIP67に準拠した防水性能を本体側に有しており、IPCとして完全防水を謳っていることでしょう。タッチパネル単体が防水でも、ケーブル周りのコネクタが防水でないといった製品などは多くありますが、eBOX800はコネクタもM12タイプで、しっかりと防水に配慮されていますので安心です。
本来の使い方とは異なるようですが、私が台湾本社を訪れた際に、ショールームでeBOX800の面白いデモを目の当たりにしたことがあります。なんと! それは本体をまるまる水没させて稼働させるデモでした【★写真3】。
【★写真3】台湾本社のショール―ムのデモ。なんとeBOX800を水没させたまま稼働させている。
このデモからわかるように、実際にeBOX800の防水性能はIP67以上のレベルであると推測できます。また動作温度範囲はー30℃~+60℃まで対応できるため、屋外の過酷環境でも利用できるIPCであることは確かでしょう。
実は、eBOX800は無線機能も内蔵しており、台湾では本来の使い方として、Wireless Gatewayとして発売されているものです。ただし、まだ日本では無線モジュールの技適が取れていませんので、現在のところは無線機器としてはご利用はできません。
eBOX800の外形/重量は210×366.83×83mm/4.31㎏なので、そこそこ小型軽量といえるでしょう。そのため、たとえばダムや太陽光発電など、屋外環境において、完全には防水できない配電盤などに組み込んで使えます。データを取得して状態をモニタリングしたり、鉄道まわりなどの施設関連で、映像監視などに活用している事例もあります。またバスなどの車両に搭載することもできそうです。
このようにeBOX800は、まだ日本ではあまり知られていませんが、非常に面白い製品なのです。ご興味のある方は弊社に是非ご連絡いただければ幸いです。まだまだAXIOMTEKは、eBOX800のようなユニークなIPCを開発しています。次回も引き続き、ギークでホットな製品をピックアップしていきたいと思います。ご期待ください!