2026 .2.20

技術力で貢献!ケーメックスONEが取り組む電力インフラの産学共同研究

現在、さまざまな企業において、大学と連携した産学共同研究が行われています。メーカーであれば、研究に必要な機材や装置、設備を提供し論文を発表したり、科学技術に対する貢献もあります。基礎研究の成果はやがて製品やサービスとして社会実装され、社会的課題の解決や経済活動の活性化につながります。このような取り組みにおいて、商社は必要な製品やソリューションの調達や資源の采配といった間接的な役割を果たすことが多いなか、ケーメックスONEは、産業機器の商社でありながら、メーカーに近い立ち位置で産学共同研究を行っています。今回のコラムでは、その活動の一部をご紹介します。

 

東京都市大学との共同研究

ケーメックスONEは、2025年2月より、電力制御ネットワークや関連するIEC 61850(電力システムの保護/制御/自動化のための国際標準)を専門とされている東京都市大学の天雨 徹教授とそのゼミ学生チームと共同で、電力システムのネットワーク技術と変電所設備を保護する技術について研究しています。具体的には、IED(Intelligent Electronic Device:発電所/送電網/変電所など電力インフラを統合制御するシステム)とSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition:プラントや工場の機器/装置を統合的に監視/制御するシステム)とMoxaのネットワーク機器をつなげ、統括的にネットワークの状態監視を検証、異常が起きた時に異常通知をメールやTeamsで通知する仕組みも活用して、実際にどういった現場で応用できるかを検討しています。また、これらの研究結果は、2025年5月と11月に開催された電気学会の「保護リレーシステム研究会」にて、変電所の制御ネットワークに関する論文「IEDとSCADA間におけるネットワーク監視の実験(その1)、(その2)」として発表されました【★写真1】。

 

【★写真1】研究内容の発表の様子。(写真は電気学会での発表のもの)

 

電力インフラの信頼性向上の重要性

電力システムの研究は、近年、最も注目が集まる分野です。理由のひとつに、先が読みにくい国際情勢においてエネルギー安全保障は各国の課題となっている現状があります。脱化石燃料は、環境問題だけでなく特定資源国に依存するリスクを分散させる意味も大きいのです。また、AI市場の競争では、LLM (Large Language Models:大規模言語モデル) を稼働させる大規模なデータセンターとその電力確保が問題になっており、もはや必要な電力を確保できるか否かが、その国の国力や経済力を左右する状況にもあると言えます。このような状況において、電力インフラの監視および保護技術はエネルギーの安定供給、信頼性や堅牢性を向上させる非常に重要な技術となります。

 

電力業界が抱える課題の解決

東京都市大学とケーメックスONEの研究分野は、電力インフラの安全性、信頼性確保につながるものですが、電力業界が抱える課題の解決にも貢献できると考えています。現在、電力業界では技術者や保守要員など人材不足やニーズの多様化、システムの高度化に対応するため、IT技術やAIによる自動化、ネットワークによる統合制御が加速しています。しかし、一般的な変電所の設備は事業者ごとにさまざまなベンダー製品が利用されており、自動化や統合制御をしようとすると、製品ごとにシステムやネットワークを構築する必要があり、労力とコストがネックになることがあります。東京都市大学との研究で使用しているMoxa製品は、異なるベンダーの機器間の相互運用を可能にする国際標準通信プロトコルIEC 61850に対応しており、これらを導入することで変電所の労力を削減し、コストダウンを実現することができます【★写真2】【★写真3】。共同研究を通してIEC 61850対応機器の応用方法を検証することで、ケーメックスONEはより幅広い提案ができるようになり、より多くのユーザーにメリットを提供できるようになると考えています。

 

【★写真2】IEC 61850取得機器を導入することでコストダウンが見込める

 

 

【★写真3】IEC 61850対応製品例

 

自社の強みを生かした社会貢献

なぜ商社であるケーメックスONEがこのような共同研究に取り組むのか疑問に思う方もいらっしゃるかも知れません。その背景には自社の技術力を生かして業界の活性化や社会課題の解決に貢献したいという思いがあります。また、大学、学生との共同研究は人材育成、将来の担い手確保にもつながるという点も非常に重要視しています。製造業やインフラ事業者は、どこも人手不足に悩まされており、エンジニアやスタッフの高齢化は、業界そのものの存続を危うくする事態にまでなっています。変電所設備や電力事業に、SCADAやIEDのような新しい技術を導入することで、少しでも若い人材に興味をもってもらうことで、後継者の育成もつながります。実際、共同研究では、学生たちが寝食を忘れて実験や研究に没頭してくれています。

 

ケーメックスONEは商品を仕入れ、販売するだけの商社でなく、エキスパートエンジニアを擁し、製品のサポートや業界、業種ごとの導入コンサル、システム構築まで対応できる創業71年の技術商社です。前述の電力システムの研究のように、自社の技術や経験を社会貢献にもつなげられれば、と産学連携のプロジェクトに取り組んでいます。