2025 .7.11
近年需要が高まる産業用小型PCの選定ポイントとは?
産業用PC(IPC)は、制御機器、工作機械などにおいて不可欠なコンポーネントですが、共通化、標準化も進んでいるためメーカーや製品の違いがでにくく、選定が難しい場合があります。カタログスペックに差がないなら安い方が良いとなりがちですが、価格だけで選定する前に考えたいポイントもあります。今回のコラムでは、現在主流となりつつある小型の産業用PCの市場動向や製品の選定ポイントについて解説します。
【★写真2】iPhoneと比較しても小型であることが分かる。
産業用小型PCの市場の広がり
産業用小型PC(小型IPC)の市場は、従来の産業機械の制御用からマシナリ全般、検査装置、測定器、ロボットや物流までと、その適用範囲を広げています。背景には複数の要因がありますが、そのひとつが、半導体の小型化、SoCによるシステム基板の小型化、SSDなどの不揮発性半導体メモリの普及によって、ハードディスクなど磁気媒体が不要になったことで、小型ながら高性能なPCが実現可能となったことです。これにより、それまでは設置が難しかったスペースに限りのある場所にも採用されるようになりました。
市場的な要因では、工場や物流におけるロボットやAGV/AMRといった自動化/無人化ニーズの高まりがあります。このような移動体に設置する場合、より小型で軽量のPCが求められます。また、半導体製造装置やデジタルサイネージ、POS端末などでは、装置自体の小型化が進んでいるため、小型IPCの需要が高まっています。
適用事例では、従来からのNC制御機器からのシリアルデータを処理するIPCといったニーズも多いですが、工場などの自動化および効率化のため各種検査装置で画像処理を行うシステムにも採用されています。また、検査装置、工作機械のデータとクラウドを中継するゲートウェイとして導入されるケースもあります。つまり、小型IPCの性能が向上しているため、画像処理や画像認識も、複雑なものでなければ機器側のIPCで十分対応できるようになってきているのです。
小型IPCの選定ポイント
小型IPCを選ぶ際、まず確認する必要があるのが使用環境に対応しているかです。IPCの動作環境は、一般的に家庭用やオフィス用PCより過酷なものになります。耐振動性や耐衝撃性、動作温度範囲などを十分に確認する必要があります。使用環境を考えるとファンレスも必須です。可動するファンは故障の可能性があり、メンテナンスも必要となります。また、産業環境では、粉塵や油煙が発生することがありますが、それらがファンを通してPC内部に入り故障の原因となります。装置や制御盤の中では電源環境も限られることがあります。12Vから36V、用途によっては48Vといった幅広い入力電圧であることもチェックしておきたいポイントです。さらに、鉄道など、特定の規格が求められるアプリケーションもあるので、使用するIPCが必要な規格を取得しているかも確認してください。
コストと性能のバランスの取れた製品を採用するためにも、事前にどの程度のCPUスペックが必要かも把握しておいた方がよいでしょう。CPUはスペックによって大きな価格差が出ます。価格重視で安いものを選択しても、CPUのスペックが低ければアプリケーションに適応することができません。逆に性能を重視することで、高価でオーバースペックのものを選らんでしまう可能性もあります。ケーメックスONEでは、ご相談いただければ、希望コストと使用方法などもヒアリングし、最適な製品をご提案いたします。
細かいところでは、電源ラインが端子ブロックにできるか、DINレールに装着できるものか、配電盤や制御盤などへの固定方法などもチェックするとよいでしょう。医療機器やコンソール用にディスプレイが必要な場合、タブレット型の小型IPCもあります。VESAマウントに取り付け可能なものもあるので、ディスプレイやコンソールとIPC本体を一体化させることもできます。
差がつくサポート体制と技術力
現在、IPCメーカーの多くが台湾やアメリカなど海外製品です。国内商社や代理店のサポート体制や技術力にも注目してください。ケーメックスONEでは、専門のエンジニアがいるため、システム要件ごとのIPCのキッティングが可能です。消費電力やプロセッサ、メモリ、ストレージ、SIM、Wi-Fiなど通信モジュール、I/Oチャンネル数、規格など仕様要件を考慮した製品やシステム構成を提案することもできます。また重要な点として、製品に故障やトラブルが発生した場合、システム全体で原因を究明し、必要であれば対策や改善を行う必要がありますが、ケーメックスONEでは、ただ製品を交換するのではなく、製品の寿命なのか外的要因なのか、PCの内部まで調べ、原因や原因と思われる現象(異常な入力や操作、電源トラブルなど)を調査しています。
マシナリからリテールまで幅広いニーズに対応するケーメックスONEのIPC

現在、ケーメックスONEでは主にiEi、Axiomitek、ARBOR、GIGAIPCの4社のIPCを扱っており、お客様のさまざまなニーズにお応えしています。
iEiの小型IPCは、ボードタイプからボックスタイプまで幅広いラインナップと高いパフォーマンスを特徴としており、豊富な周辺装置は、産業機器や工場ライン、製造システムなどマシナリ全般に対応しています。
Axiomtekは、防水、防振、幅広い動作温度など堅牢性に優れたIPCを得意としています。防爆(耐火性能)や鉄道規格といった特殊用途の小型IPCにも対応します。
ARBORのディスプレイ一体型のタブレット型小型IPCは、船舶、車載、医療機器などの分野で実績があります。
GIGAIPCは大手マザーボードメーカーの技術を応用した、コストパフォーマンスと安定かつ強固な供給体制を売りとしており、ケーメックスONEでは、使いやすいボックス型小型IPCのオリジナルブランドSTDシリーズの「STD-3」「STD-4」として販売しています。
要件によって、あるいは要望があれば前述4社に限らずさまざまな小型IPCを調達できます。小型IPCにご興味をお持ちの方、課題を抱えていらっしゃる方は、是非弊社までお気軽にお問い合わせください。
ケーメックスONE 産業用PC標準機 STDシリーズ
Intel® Celeron® N3160搭載 STD-1
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Intel® Atom™ X7-E3950搭載 STD-2
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Intel® Celeron® J6412搭載 STD-3
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Intel® Celeron® J6412搭載 STD-4
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