2024 .2.7
将来性を見据えた産業用ネットワークインフラが導くIT/OTコンバージェンス成功への道
企業が新たな収益や価値を生み出す機会を得るためには、顧客との関わり方や対応方法、サービスの提供方法を発展させる必要があります。デジタル化は産業アプリケーションを実現する重要な要素であり、次に挙げる2つのイノベーションモデルを改善することもできます。
・オペレーションモデルのイノベーション: マシンや資産のダウンタイムを最小限に抑えたり、資産の稼働率を向上させたりすることで、業務効率と生産性を向上させます。例えば、リアルタイムのマシン監視によりマシンの機能をより理解し、生産効率とメンテナンスのスケジュールを改善することができます。
・ビジネスモデルのイノベーション: 企業が顧客に価値を提供する方法を根本的に変えることで、優位性および価値創造を強化します。例えば、一部のOEMマシンメーカーは、マシンの1度きりの販売から、マシンの寿命に渡って継続的な収益源をもたらすマシンアズアサービス(Machine as a Service)ビジネスモデルへ移行することで、事業に変革をもたらしました。
企業がどの戦略を選択するかに関わらず、IT/OTコンバージェンスはビジネスの成功に不可欠です。ITとOTシステムを融合させることで企業は分散している貴重なデータを最大限活用し、技術能力を最大化し、ビジネスに変革を起こすことができます。
デジタル化によってネットワークはより複雑になるため、メンテナンスを簡略化しながら効率とシステムの信頼性を高めるには、単一の統合ネットワークを構築することが重要です。その実現には、TSNなどの新しい技術を使用して異なるデバイスや装置に使用される様々な産業用イーサネットプロトコルを統合することと、将来のネットワークのニーズやチャンスに備えることの2つが求められます。この変革には時間とリソースが必要ですが、差し迫ったニーズに対処するため、デジタル化への取り組みにおいて段階的なアプローチをとり、将来のニーズにも対応可能な漸進的な改善に注力することをお勧めします。
このコラムでは、産業用通信ネットワークの合理化を図りながら将来に備えることで、将来にわたりメリットを活用できる方法について、実践的なアドバイスをご紹介します。
将来のネットワーキングニーズに備える
データ接続の増加をサポートする合理化されたエッジ to コアソリューション
IT/OT融合アプリケーションの急速な成長により、無数のセンサやマシンが産業用ネットワークに導入され、伝送および交換されるデータがますます増えています。例えば、品質検査や作業員の安全検知、施設のセキュリティの向上に使用されるマシンビジョンを備えたAIの出現により、IPカメラが産業アプリケーションに大量に導入されています。高解像度カメラは性能と精度を向上させますが、ファイルサイズとビデオストリームが大きいため、より多くの帯域幅とネットワーク性能が求められます。多くのIT/OT融合アプリケーション同様、ネットワークデバイスをより必要としますが、スペースが限られたキャビネットにそれらを設置することは困難です。また、追加のエンジニアリング作業も必要となり、現場のエンジニアに大きな負担がかかるため、簡単に統合できるネットワークソリューションのがますます重要となります。
この様な状況下で、統合ネットワークのスムーズな通信を確保するには、企業は将来の運用要件を予測し、その要件に備えるための柔軟性を取り入れなければなりません。そのため、制御キャビネットに簡単に収まるコンパクトなサイズと、ニーズの変化に合わせて接続性や機能を追加できるモジュールフォームファクタのソリューションをお勧めします。エッジレイヤで複数の産業用プロトコルをサポートしていると、SCADA/HMIシステムとの相互運用性および統合が容易になり、運用性能と柔軟性が向上します。ディストリビューションレイヤとコアレイヤの帯域幅および性能も、エッジ to コアのデータ接続の合理化に重要です。Moxaはシームレスなデータ伝送と容易な統合を可能にする信頼性の高いネットワーク基盤を提供しており、エッジからコアまで信頼性が高く、将来性のあるネットワークを構築することができます。
増加するネットワークセキュリティのリスクへの対処に不可欠な多層防御
ITおよびOTネットワークの融合は、IIoTテクノロジーの両ネットワークへの急激な導入と同時に起きています。しかし、これは、攻撃ベクトル同様、全体的な攻撃対象領域が増加していることを意味します。サイバーセキュリティのリスクは指数関数的に高まっており、OTネットワークのセキュリティが不十分であるために不正な変更や設定が行われ、産業用制御システム(ICS)や発電所などの重要なインフラの運用が中断されたという報告が増加しています。歴史的に、OTデバイスはエアギャップによって他のネットワークから物理的に分離されていました。しかし、現在ではIT/OTコンバージェンスにより、ICSとインターネット間のエアギャップが解消され、OTインフラが潜在的なサイバー脅威にさらされています。管理者は、かつては分離されていたOTネットワーク内に潜む脆弱性を管理するという課題に直面していますが、さらにITベースの脅威の複雑さも加わっています。しかし、OTネットワークのセキュリティを確保することだけが、産業アプリケーションを成功させる基準ではありません。ネットワークセキュリティの強化は重要ですが、信頼できる中断のない運用を維持しながら行うことが不可欠です。
堅牢なネットワーク基盤を構築しながら産業用ネットワークセキュリティを強化するには、多層防御を備えた安全なネットワーキングに重点を置くことが基本原則となります。まずはIEC 62443やNERC CIPなどの産業用セキュリティ規格に準拠した、セキュリティが強化されたデバイスを選択します。これらのデバイスを使用する場合でも、ネットワークセグメンテーションやプロアクティブな脅威防御など、攻撃からネットワークを保護する保護レイヤをもう1つ構築する必要があります。また、サイバー脅威をタイムリーに検出し対処するため、ネットワークのセキュリティステータスを監視する可視性が必須です。Moxaは、産業用ネットワークのニーズに合わせて設計された3層の多層防御を用いた総体的なネットワークセキュリティを提供しており、企業が統合インフラに移行する際に、ネットワークの保護と可用性の両方を確保できるようにします。
増大するネットワークへの対応に不可欠なネットワーク管理の簡素化
ITネットワークとOTネットワークが統合されると、ネットワークの複雑さが増し、ネットワークを円滑、効率的、継続的に稼働させるための適切なネットワーク管理の重要性が増します。1つの障害がOTインフラ全体、さらにはITネットワーキングシステムにまで大きな影響を及ぼし、ダウンタイムにより大きな損害を被る可能性があります。サービスプロバイダには、顧客サイトのネットワークステータスを明確に把握し、トラブルシューティングの時間を短縮し、リモートメンテナンスを可能にするネットワーク管理ツールが必要となります。
OTネットワーク管理ツールが備えるべき機能は下記の3点です。
・ネットワークの可視性: これは最も重要かつ最も基本的な要素です。ネットワークデバイスのパフォーマンス、トラフィック負荷、セキュリティステータスの監視などの機能もあります。
・迅速な診断: ダウンタイムを検出し、問題の根本原因を特定することで、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。カスタマイズされたイベントの通知により、企業は問題をタイムリーに、場合によっては発生前に解決することができます。
・簡単なメンテナンス: これには、リモートでデバイス構成をバックアップまたは復元し、全体のデバイスのファームウェアを一元的にアップグレードする機能が含まれています。デバイスが制御キャビネットまたはマシンの内部に設置されているとメンテナンスは困難になりますが、この機能により、管理者はデバイスのメンテナンスのためにエンジニアを現場に派遣することなく、アップグレードおよび修正することができます。
優れたネットワーク管理ツールを使用することで、ネットワークの性能と可用性を向上させ、問題の検出と対応を迅速に行い、将来の拡張を容易にすることができます。Moxaは、使い易くOTエンジニアのニーズに合うOT中心のネットワーク管理ソリューションを提供し、ネットワークの複雑さの増大に伴う問題に対処するための労力を軽減します。これにより、企業はより良いアフターマーケットサービスやマシンアズアサービスのような新しいビジネスモデルを提供できるようになります。
デジタル化を成功に導く将来を見据えたネットワークインフラの活用
デジタル化に向けてIT/OTネットワークの統合に取り組む際、新たな要求を満たすためにネットワークインフラを進化させる必要があります。産業用ネットワーキングの信頼できるエキスパートとして、Moxaはお客様の様々なアプリケーションのニーズに対応し、イノベーションの目標の達成に役立つ将来性のある産業用ネットワークインフラの構築に貢献することで、お客様を次世代の産業用ネットワーキングへと導きます。
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