2023 .2.27

信頼性の高い病院情報システムを構築するために考慮すべき3つのポイント

 

近年の技術の進歩により、医療業界のデジタル化は急速に進んでいます。手作業によるエラーを減らし業務効率を向上させるため、電子健康記録 (HER)の開発に拍車がかかっています。さらに、COVID-19により、医療スタッフが患者情報をリアルタイムで簡単に入手でき、より効率的に作業できるHERの需要は高まっています。

 

しかし、HERを開発するには、複数の病棟に散在する多数の医療機器から大量のデータを収集しなければなりません。現在、多くの病院運営者は病院情報システム (HIS)を開発し、これらの広く分散した医療機器からデータを収集し、データをHERに変換しています。医療機器の多くにはシリアルインターフェースが搭載されており、最新のHISに対応するためにシリアル to イーサネット通信を利用しています。これらの機器は、透析装置から血糖値や血圧のモニタリングシステム、医療用カート、診断用モバイルワークステーション、人工呼吸器、麻酔器、ECGなど多岐に渡るため、HISと医療機器間の信頼性の高い通信システムが極めて重要になります。確実な接続がなければ、HISは時間通りに正確なデータを受信し適切なHERを実施することができません。そのような状態では、的確な診断ができず、治療プロセスが遅れ、HERを開発する目的に合いません。シリアルデバイスサーバがシリアルベースの医療機器とイーサネットベースのHIS間のデータ転送において重要な役割を果たすため、信頼できるシリアルデバイスサーバを選択が確実な接続の実現に欠かせません。このコラムでは、HISを開発するための接続ソリューションを選択する際に考慮すべき3つのポイントと、それらがどのように役立つかご説明します。

 

1. 常時移動する医療機器の接続の難しさ

多くの医療機器は、様々な患者に対応するために部屋から部屋へと常に移動する必要がありますが、ワイヤレス通信によってこれらのモバイル医療機器の接続の問題を解決できます。ワイヤレス接続をサポートするシリアルデバイスサーバを使用することで、ワイヤレスネットワークを介してモバイル医療機器をHISに接続することができるのです。ワイヤレス接続は便利であるものの、安定した接続を維持することは困難です。ワイヤレスネットワークを構築する場合、病院内に十分なAP (アクセスポイント)を設置し、動き回る医療機器が接続を維持できるようにする必要があります。医療機器が異なるAP間を移動する場合、シリアル to ワイヤレスデバイスサーバは高速ローミングを行い、切替え時間を短縮し、切断の可能性を最小限に抑えなければなりません。ポートバッファリング機能は、接続が切断したり不安定になる場合にシリアルデータを保存し、ワイヤレス接続が回復した際に再送できるため、シリアル to ワイヤレス通信に役立ちます。HISが医療機器から完全なシリアルデータを収集する際に非常に効果的ですので、シリアル to ワイヤレスデバイスサーバを選定する際は、この機能が搭載されているか確認すると良いです。

 

2. 患者の機密情報を不正アクセスから保護

通信を可能にすることで効率が向上しますが、セキュリティ上の懸念も増します。病院のシリアルデータには患者の機密情報が含まれるため、適切な保護が求められます。シリアル to ワイヤレスデバイスサーバを選定する際は、ワイヤレス伝送中のデータを保護できるか確認してください。ワイヤレスネットワーク上でシリアルデータを暗号化し、安全なワイヤレス接続を実現するWPA2プロトコルをサポートしているかにも注目してください。さらに、許可されたファームウェアのみをデバイスで実行し、ハッキングの可能性を最小限に抑えるセキュアブートも必要な機能です。

 

3. 通信システムを切断から保護

医療機器はシステムダウンタイムへの耐性が低いため、ダウンタイムを最小限に抑える信頼性を備えたシリアル to ワイヤレスデバイスサーバを選ぶ必要があります。常時移動することで絶え間なく衝撃や振動を受ける医療用カートに対し、安定した電源入力を確保する固定ネジは重要です。さらに、シリアルポートや電源入力、LANポートのサージ保護などの機能により、信頼性を向上させ、システムダウンタイムを短縮できます。

 

安全で信頼性できるシリアル to ワイヤレスデバイスサーバを

Moxaのシリアルto ワイヤレスデバイスサーバNPort W2150A-W4/W2250A-W4シリーズ は、HISに安全で確実なシリアル to ワイヤレス通信を提供します。このシリーズは、シリアルベースの医療機器を最新のHISに簡単に接続できる802.11 a/b/g/nデュアルバンドネットワーク接続を提供します。ワイヤレスネットワークでのパケット損失を減少させるため、Moxaのシリアル to ワイヤレスデバイスサーバは高速ローミング機能をサポートし、ワイヤレスAP間で常に移動する医療用カートのシームレスな接続を実現します。さらに、オフラインポートバッファリング機能は、ワイヤレス接続が不安定な場合にデータを保存するために最大20 MBを提供します。Moxaのシリアル to ワイヤレスデバイスサーバは、デバイスセキュリティとワイヤレス伝送セキュリティの両方を強化するセキュアブートとWPA2プロトコルをサポートし、機密性の高い患者情報を保護します。

 

産業用コネクティビティソリューションプロバイダとして、Moxaのシリアル to ワイヤレスデバイスサーバは電源入力用の固定ネジとサージ保護を提供し、デバイスの信頼性を強化することで、システムのダウンタイムを短縮します。

 

 

シリアル to ワイヤレスデバイスサーバ NPort W2150A-W4/W2250A-W4シリーズ

主な特長

・シリアルデバイスとイーサネットデバイスをIEEE 802.11 a/b/g/nネットワークにリンク可能
・内蔵イーサネットまたはWLANを使用したWebベースの設定
・Moxaが承認したファームウェアのみをデバイス上で実行するセキュアブート
・WEP、WPA、WPA2によるセキュアなデータアクセス
・アクセスポイント間のすばやい自動切り替えを実現する高速ローミング
・オフラインポートのバッファリングとシリアルデータログ
・シリアル、LAN、電源に対する強化されたサージ保護
・デュアル電源入力 (ネジ式電源ジャック x 1、ターミナルブロック x 1)
・製品の寿命と品質を保証する5年保証

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Moxaはお使いのシリアルデバイスを将来のネットワークでも簡単に使用できるシリアルコネクティビティソリューションを提供します。新しい技術の開発、様々なOSドライバのサポート、セキュリティ機能の強化を続けており、2030年以降もシリアル接続を提供できるよう取り組んでいます。

 

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