2022 .12.9

コネクタを自在にデザインできる「ODU-MAC®シリーズ」を徹底解説!検査ラインの自動化成功の秘密

意外と知らない? ドイツのコネクタメーカー、ODUとはどんな会社?

ODUは、1942年に創業したドイツの老舗コネクタメーカーです。世界各地に営業所と製造工場を持ち、従業員は2,500名、2021年度の売上は325億円ほどで、コネクタ業界においてグローバル企業といえる存在です。同社は、金属製や樹脂製のコネクタを自社で開発から製造まで垂直統合型でサポートしており、特に医療分野や自動車分野でよく利用されています。

 

ODUコネクタの大きな特徴は、ほうきからヒントを得たソケットの「スプリングタック」にあります。接点をワイヤー状にして分散させることで、コネクタ接触面の負荷が低減され、結果的に着脱回数10万回以上という長寿命化を実現しています。同社の製品ラインナップは以下の通りです【★写真1】。

 

【★写真1】ODUのコネクタのラインナップ。一般的な丸型コネクタからモジュラー型コネクタまで、さまざまな製品を提供。

 

今回ご紹介するモジュール式コネクタ「MACシリーズ」のほか、コンタクト単体で販売している「シングルコンタクト」、金属製および樹脂製の「丸型コネクタ」、カタログにないカスタム仕様、ハーネス処理を施した「ケーブル付きコネクタ」なども販売しています。

 

いまさら聞けない!? MACコネクタ基本の基本

さて、ここから本題の「ODU-MAC®シリーズ」について説明しましょう。前述のようにODUのコネクタの大きな特徴は、ソケットに設けたスプリングタックにあります。スプリングワイヤーを張り巡らすことで、プラグとの篏合時に多接点かつ面接触を実現しています。

 

これによりODUのコネクタは多くのメリットをもたらします。まずコネクタ寿命ですが、1本ごとにスプリングワイヤーのバネによって、低い挿抜力、耐震性・耐衝撃性があり、10万回の着脱が可能です。条件によっては100万回以上もつこともあります。また多接点なので、それぞれのスプリングワイヤーが低い接触抵抗となり、小型センサなどの微電流に対応できる一方、面接触の特徴を生かして大電流にも対応できます【★写真2】。

 

【★写真2】スプリングタックの構造(断面図)。ソケット内部は複数のスプリングワイヤーで覆われており、プラグインすると包み込むようにワイヤーが多点接触する仕組み。

 

このような特徴を備えたODUコネクタの中でも、特にユニークな製品がODU-MAC®シリーズです。MACシリーズは、ハウジング(+フレーム)とモジュールなどで構成されています【★写真3】。

 

【★写真3】モジュラー型コネクタ「ODU-MAC®シリーズ」(Silver-Line)の構成と構造。 コンポーネントは、手動着脱または自動着脱のハウジング+フレームと、34種類のモジュールなどで構成される。

 

ハウジングには、手動着脱(レバー式、スナップインロック式、スピンドル回転ロック式)と自動着脱の2タイプを用意。そこに34種類のモジュール(信号、電源、大電流、高電圧、同軸、高速データ転送、光ファイバ、流体用)をブロックのように組み込み、さまざまなコネクタとして利用できます。【★写真4】【★写真5】【★写真6】。

 

【★写真4】モジュールのラインナップその1。信号線用/動力線用(電源用)/大電流用のモジュール各種を用意。

 

【★写真5】モジュールのラインナップその2。アース線用/高電圧/同軸/エアー/流体用のモジュール各種もある。

 

【★写真6】モジュールのラインナップその3。光ファイバ/高速通信/ブランク/コーディング用のモジュール各種。光ファイバはノイズに強い。

 

スピンドル回転ロック式のハウジングにモジュールを組み合わせたコネクタは、最大290極を補充が可能です。また新製品「Silver Line P4+フレーム」は、自動着脱のときの着脱誤差が、従来品の最大±2.5mmから最大±4mmまで広がり、軸ずれからの中心を合わせるように改善されています【★写真7】。

 

【★写真7】新製品の「Silver Line P4+フレーム」。自動着脱の際に、最大4mmまで軸ズレがあっても合わせてくれるので、システム設計がラクになる。

 

最近は電気自動車の製造が増え、大電流と信号線を合わせた検査もあります。そこでODUでは、電気自動車の検査ライン向けに、Silver Line標準Sフレーム12ユニットと最大電流865A×2ライン、単体あるいはケーブルハーネス付きのモジュール型ドッキングインターフェースも用意しています。こちらの着脱回数は1万回となっています【★写真8】。

 

【★写真8】電気自動車の検査ライン向けのモジュール型ドッキングインターフェースも用意。Silver Line 標準Sフレーム12ユニット+最大電流865A×2ラインで構成。単体(写真左)、あるいはケーブルハーネス付き(写真右)のタイプもある。

 

また高速通信にも対応できるようにハイスピードモジュールもご提案できます。こちらは、USB2.0、USB3.2Gen 1×1、USB3.2Gen 1×2、イーサネット、HHDM2.0/2.1などを組み合わせたアセンブリ加工を行います。【★写真9】。

 

【★写真9】高速通信にも対応できるハイスピードモジュール。USB2.0、USB3.2Gen 1×1、USB3.2Gen 1×2、イーサネット、HHDM2.0/2.1などのインターフェースを組み込める。

 

ODU-MAC®による自動着脱コネクタの成功事例~スマートフォン検査ラインの自動化

ODU-MAC®による自動着脱コネクタのアプリケーションとしては、AGVなどの自動給電システムや、スマートフォンなどの検査ラインなど、多数の事例があります。

 

たとえば【★写真10】のように、検査装置とステーション側のMACコネクタを接続して、パレット側から流れてくるスマートフォンを検査します。ここでは、MACの自動着脱ハウジングに、電源線、信号線、同軸モジュールなどを組み込んでおきます。

 

【★写真10】ODU-MAC®シリーズの成功事例。スマートフォンなどの自動検査ラインに最適。パレット側から流れてくる複数種のスマートフォンをコネクタでステーションとつなげて、効率的に検査できる。

 

これにより電源、音声、画像の機能が正常かどうかを一度にチェックできます。このとき同一ステーションにて、複数の製品A、B、Cを検査できるようにMACのピン配列を共通化しておくことで、異なる製品ごとに検査ができるようになり、非常に便利です。

 

同様に、テレビ、ビデオ、カーナビなど家電製品の電気的検査でODU-MAC®コネクタは幅広く採用されています。また家電以外の検査でも、自動車の制御系の心臓部となるECU(Electronic Control Unit)の検査に使われています。ほかにも微小電流の小型センサ、チップマウンタ、工作機械のツールチェンジャー、医療系ではMRIなどのシステムにも適しています。現場の自動化、省力化にODU-MAC®シリーズをお役立てください。

 

コラムで紹介されている製品はこちら

着脱回数10万回以上、モジュールタイプ自動着脱コネクタ- ODU MAC® Silver-line

 

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